こんなとこで俺の人生終わりですか!??
今回少し短いです!
何かに周りを囲まれたことを察知した俺は、自分を取り囲んでいる存在が何者なのかを特定しようと、目を凝らして、周りの草むらを見た。
「………ん?………青い………狼?」
よく見ると、周りには、青い毛並みの、またまた大きな2m近い、狼の様な生物が数匹いた。
そして、俺は確信した。
「詰んだ………」
亀には勝てた足でも、狼に敵うはずがない………
数の上でも、こちらが圧倒的に負けている………
体の大きさも、向こうが上………
その上、こちらが持っているものといえば、かばんと、その中にあるペンにルーズリーフに財布のみ………
「さて、どうしたものかな………」
そう呟きながら、ふと、右腕を見ると、男に着けられたであろう銀色の腕輪が、日光を反射させて輝いていた。
「こいつが、思った以上に固いことを祈るか………」
と言いながら、カバンから取り出したペンを武器の代わりとして左手に持ち、銀色の腕輪を防具の代わりとして、右手を前に構えた。
「よし、来い!」
——————ガサガサッ
俺がそう呟いた次の瞬間、目の前の草むらから、一匹の小柄な狼が飛び出してきた。
噛みつこうと迫ってきた狼に、右手を横にして突き出し、腕輪を噛みつかせる。
——————ガキンッッ
大きな音がして、狼が苦痛の表情になる。
「おぉぉ!運よく腕が無くならずに済んだ!」
そう叫びながら、俺は、左手に持ったペンを顔に突き刺す。
——————グサッッ
すると、痛みによって、噛む力を弱めた狼の口から右手を引き抜き、距離をとるため、後ろへ下がる。
「他のやつらは見てるだけか??」
なぜか周りを囲んで見ているだけで襲ってこない狼達を、ラッキーだと思い、『これなら勝てんじゃね?』という淡い期待を胸に抱き、狼の再びの攻撃に備えるべく、両腕を構える。
————————ヴゥゥゥ————————ビリッ————————ビリビリッッ
狼が唸ると同時に淡い期待も崩れ去った………
なんと、狼が唸った瞬間、その体の周りを、黄色く光る電気が覆い始めたのだ。
「これはヤバい………魔法って反則過ぎるだろ………」
狼の噛みつきには腕輪で対処できるが、金属を通ることのできる電気は体に達してしまうだろう。
そうなればもう為す術は無い………
目の前の雷を纏った狼が走り出すのを見て、悟った。
「………俺………死んだな………」
そして、目を瞑り、元の世界にいる家族や友人を思い出した。
『皆、今までありがとう………』
こうして俺の人生は幕を………
——————グサッッ————————キャゥンッ————————バタッッ
「………ん?………なんだ?俺、死んでない!??」
そう呟きながら、恐る恐る目を開けると、そこには、すごい光景が広がっていた。
周りを囲んでいる狼達は、唸り出し、今にも飛びついてきそうになっていて、目の前では、先程俺に襲い掛かろうとしていた狼が血だらけになりながら倒れていた。
「いったい何が?」
そう呟きながら、倒れている狼の横を見ると、この状況を作り出した現況が立っていた。
「………お…お前……さっきの!」
そう、そこに立っていたのは、先程草原で大きな赤い熊を炎を纏った剣を使い、倒した少女だった………
「自己紹介はあと!取り敢えずは、この状況を切り抜けるわよ!」