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災難の元凶

第2話

 どうやら僕は意識を失っていたようだ。

 頭の鈍痛だが、意識がはっきりしていくうちに強くなっていく。

 そしてなんだか頬も痛い。

 幸か不幸か痛みによってだんだん思い出してきた。

 確か、召喚が行われたと思ったら木の上から何かが落ちてきて、退かそうと思ったら柔らかいモノに触ったような。

そう......とっても柔らかくて、少し力を入れただけでそのモノの中に指が同化していくが如くめり込んでいった。

 だが、ただ柔らかいだけではなくて、奥の方には適度な硬さがあって、なんだかずっと揉んでいたい気までさせる柔らかさだった。

 是非とももう一度触りたい!!

 僕を熱くさせるあのモノは一体何だったのだろうか?

 と、考えているうちにもう一つ思い出した。

 そう、確か女の子がいた。だけど、何故が叩かれたて、その拍子にふっ飛んで木にぶつかった。

 確か『スケベ』とかって言ってたような......

 ここで僕は一つの仮説を思いついた。

 上から落ちてきたモノを退かそうとして柔らかいモノに触れた。いや、揉んだ。

 そしたら女の子が現れて叩かれて、『スケベ』と言われた......

 つまり、僕が触ったのは女の子のおしr

 と、僕の中の何かが爆発しそうだったその時、近くに気配を感じて隣を見た。

 

 そこには、件の女の子がいた。

 髪は肩位まであり、色は茶色。

 歳は僕より上に見える。身長も僕より高いと思う。

 そのなんというか、体付きは控えめのようには見えるけど、出ているとこは出ているというか、さっきの僕の推理のせいで僕はもうこの子のおしりにしか注目出来なかった。

 あの柔らかさをもう一度......などと考えていたら、

「う......うん?」

 と、女の子がうなった。

 そこで僕は正気に引き戻された。

「あの、大丈夫ですか? もしも~し? 聞こえてますか?」

 と、肩を揺すりながら声をかけた。

 すると女の子は、

「う~ん......あと5分......いや、倍。からのさらに倍で。もう倍々ゲームのビックチャンスで......」

 と、訳の分からないことを言うので、僕はさっきより激しく揺すった。

 そうしてようやく女の子の意識がはっきりしてきた。

「うん......どこ? 木? 森? なんでアタシここに......てか、誰ですユー!?」

 と、いうまたしても謎発言からの寝起き一発ボディブローをくらって僕は地に沈んだ。

「ちょっと! うずくまってないで説明してよ! ねえってば! 起きてよ!」

 と、ちゅうちょなくダメージの残る僕を揺すってくるので、

「ご......後生ですから......後生ですから......」

 と、僕は懇願するしかなかった。

「ごしょう? もう、わけわかめ! わかめは海産物だよ! ちょっと待って。わけわかめだって? 私発信だけどウケル。あっ、ツボッた」

 とか言って笑い出してやっと揺するのを止めた。

 

 笑っている間に少し回復してようやく立ち上がれた。

「あの......説明しますので、もう殴らないでください。ボディーだけは......ボディーだけは......」

「えっ? 殴る? 誰が誰を? 殴るなんてしませんよ!」

「どの口が言ってんだこいつ!」

 内心思ったが、本当にもう殴られるのは嫌だったので、飲み込んだ。

「いいですか? 先ずは落ち着いて聞いてください。ここは、貴女がいた世界とは違う世界です。いうなれば異世界です。貴女は異世界に来たんです!」

 そう説明をすると女の子はただ一点を見たまま動かなかった。

「ですよねえ」

 と、僕も思う。だって、いきなり『ここは異世界です』なんて言われて『はい、わかりました』なんて納得出来ないし、理解なんて出来るはずがない。

 むしろ、一発で分かった方が怖いわ。

 なんて考えていたら、女の子の頬が膨らみ、

「うえええ!」

 と、吐いた。それはもう盛大に。

 少しして落ち着いたようで女の子が、

「そうか......異世界なのか......オッケわかった無問題。バッチグーよ」

「うわ! こわっこいつ」

 怖い人でした。

「なによ、その顔! 気持ち悪い物を見たかのように顔しちゃって」

「ご、ごめんなさい! 他意はないんです。他意は」

「鯛がこんなとこにあるか! 森よ森! 海じゃない! ノーシーよ! 海が恋しいぜ」

 なんだろう......もう関わりたくないなコイツ。

「他意は置いておいて、話を進めます。先ず、異世界だというのはわかってもらえたようで助かります。さっきも言いましたが、貴女は異世界に召喚されたんです」

「誰に?」

「さあ?」

「なにゆえ?」

「知りません」

 一瞬の沈黙の後、

「なんで知らないのよ!」

 と、言いながら両手で胸倉を掴まれながら前後に揺さぶられた。

「そんなの僕にわかるわけないじゃないですか! 知ってることと知らないことぐらいありますよお!」

「なによそのどっかで聞いたことあるようないいわけは~!? あれかっ!? お前はどっかの委員長か!? 思わせぶりっこちゃんか!?」

「わけが、わからない、です! とりあえず話を最後まで聴いてくださいよお!」

 と、言うとようやく揺さぶるのは止めてくれた。

「で、続きは?」

 顔が近い。

「は、はい。理由はわかりませんが貴女はこの世界に召喚された異世界人なんです。この世界は貴女のような異世界人が来る世界なんです。でもどうして異世界にいるとすぐわかったんですか?」

「そりゃあ、いきなり視界が光でいっぱいになったかと思おうと、空のいて、森に落ちたら、異世界に来たんだって誰でも思うでしょ?」

「光......ですか?」

「そう光。信号が赤になるのを待っていたら、向こうから凄い音を立てながら何かがアタシの方に来て......それで.....アタシは......」

 と、言うと手を放して頭を抱えだした。

「だ、大丈夫ですか!? 頭が痛いんですが!?」

 と、心配になり僕は声をかけた。

「大丈夫。少し頭の中がグルグルしちゃって、また気持ち悪くなって......」

 少しさっきよりおとなしくなったと思ったけど、どちらかというと怖がっているように見えた。 

 想像したくない。考えたくないことがあったのかもしれない。

 そう思い、あまり追求しないようにしようと思った時、

「そうだ! なんで、アタシはこっちに着いた時めちゃくちゃ気持ち悪くなったの!? ねえ、なんで!? 教えてプリーズ!!」

 と、さっきの動作がまた始まった。

「だから知らないってば! 揺らすの止めて! もう嫌だコイツ!」

 ついに本心が口から出てしまった。正直限界でした。


「コイツじゃない! アタシは『カザキリ ナツメ』だ! 元気いっぱい今をときめく女子高生だ! 今が旬だぜダンナ~」

「はあっ? 何言ってんだコイツ? 旬ってなんだよ旬って? 果物か?」

「まあ、ある意味な」

「いや、人だろ」

「ある意味な」

「ある意味ってなんだよ!」

 もう、僕は疲れ果てていた。こういう系は僕が一番苦手なタイプである。

 人の話を聞かないで自分の話ばっかするし、無駄に元気。

 本当なら関わりたくなかった......

「それではナツメさん、話を進めていいですか?」

「い、いきなり名前呼びかよ!? 嫌いじゃないぜ、そういうの」

「そういえば、そちらの世界では苗字が先でしたね。改めます、カザキリさん話を進めていいですか?」

「ナツメって、呼んで良いんだよ?(ハート)」

「おい、話進めるぞ」

 ブーブーと言っているがもう無視することにした。


「僕達は異世界から来た人達にこの世界のこととか、異世界人のわかっていることを説明する義務が課せられているんです。だから、邪魔するな。わかった?」

「は~い」

「じゃあ、これから村に行って僕より詳しく知っている人に会わせます。なので、準備してください」

 と、いうと僕は集めていた魔石を探した。

「そういえば、ここら辺にある『黒い石』ってなんなの? そこのカゴにもいっぱい入ってるけど」

「ああ、これは『魔石』です。この世界では『魔法』が使えるんです。魔法は『魔力』を消費して発動させるんですけど、その魔力の塊がこの魔石なんです」

「ま じ で !?」

 なんだかめんどくさい予感がする......

「どうやるの!? ねえ、どうやったら出来るの!? 空飛んだり、火出したり出来る!? 透視とかテレポーテイション出来たりするの!? ねえねえ!!」

「ああ~もう、うるさい! 異世界人は『魔石を使わなくても魔法が使えます』よ!」

 そういうと今にも成仏するんじゃないかというくらいの幸せオーラを出した。

「まじでまじで! プリーズ! レクチャープリーズ!」

 顔が近い。

「知りませんよ。僕達は『魔石がないと魔法が使えない』んですから。異世界人のやり方なんて見当もつきませんよ」

「そうなんだ......」

 急にしおらしくなった。

「だから、それを知ってる人のとこに行くんですよ。さあ、行きますよ。カザキリさん。」

 そういうと僕は村へと歩き出した。

 彼女もとぼとぼとついて来た。

 こうして僕はこの先、悩まされる元凶と知り合うことになったのだった。

「ナツメだよ」

「カザキリさん」

「恥ずかしがらずに言ってごらん? ほら、ナ ツ メ (ハート)」

「黙ってついてこいお前」

 ほんと......会わなきゃよかった......


「そういえば、落ち後におしりを揉まれた気がするんだけど、なんか知らない?」

 僕は気持ち足早になった。

「ねえ、聞いてる? これでも結構友達の間では人気なんだぜ。このケツ!」

 と言いながら夕日をバックに最高のキメ顔で親指を立てていた。

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