プロローグ
自分の書きたいジャンルを混ぜたらこうなってしまいました。
拙い文章ですが、よろしければご覧読下さい。
──ちくしょう、どうなってんだこりゃあ。
俺は戸惑いながら街の中を歩く。おかしい。こんな近くにこんな景観の街は無いはずだ。
そもそも何故、俺はこんな所へと来てしまっているのか。確か、俺は家の近くの自動販売機へ飲み物を買いに行っていたハズなのだ。
「迷うはずは……ねぇよな……」
迷うはずは無い。迷うはずが無い。だと言うのに頭は不安で埋め尽くされていた。
手に持った黒い炭酸飲料のペットボトルを握りしめる。容器の冷たさが、少しだけ焦った心を静めてくれた。
だが、行けども行けども見慣れた風景は一向に見えてこない。流石にもう精神的に参ってきた。
「スマホの電波も通じねぇし……一体どうなってんだよ本当に」
ポケットからスマートフォンを取り出して現在地を確認しようとする。だが、確認しようにもまず電波が通じていなかった。
まずい、本格的にまずい。不安で心が潰れそうだ。
「こうなりゃヤケだ。来たであろう道をぶっ倒れるまで走ってやる」
パーカーのポケットにペットボトルを突っ込み、不安を振り払うように歩いて来た道を逆走する。大丈夫、体力には自信がある。
──だが、そんな足掻きはやはり無駄な徒労に終わった。
「はぁっ! はぁっ! ちくしょう、なんだってんだよ!」
結論から言うと、全く意味がなかった。体感ではもう2キロほど全力疾走した。なのに、街の景観は先程のままだ。
肩で息をしながら、全力疾走によって熱を帯びた体を冷ます。
いくら体力に自信があっても、ペースも考えずに全力疾走したら誰だって疲れる。
「……」
そのまま道の端へ座り込む。道は石造りで、座ると少し冷たい。
「とりあえず休憩しよ」
そう言ってポケットに入れたペットボトルを取り出す。
その瞬間───
「?! なんだ?!」
───まるで、銃声のような破裂音が周囲に響き渡った。
この銃声が、剣と魔法とは程遠い、血と硝煙にまみれた異世界での生活の号砲だった。