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異世界最強のキャンセラー~レアなキャンセルスキルで無双する~  作者: 空地 大乃
一章 キャンセル活用編

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第六話 幼女養女

 とりあえず、俺が領主に扮した魔物を倒してから二日が過ぎた。

 王都の事はどうなったのかな? なんて思いつつも、黙っていても暇だから、適当にギルドの情報を見て、この領地内のダンジョンを片っ端から攻略してるんだけどね。


 それも一日何箇所もダンジョンクリアーしてたら殆ど攻略してしまった。

 ニャーコは自重して欲しいって言ってるのに……とかブツブツ言ってたけどな。

 一応自分ではしてるつもりなんだけどな~そうじゃないと一日で全部回っちゃうし。


 大体ダンジョン攻略したからって何か問題あるのか? て話だけど、これがまた大有りだったようで、俺が攻略すると最速記録が二分とか三分とか普通にありえない数字になるから冒険者の意欲が削がれるそうだ。


 そんな事言われてもな~まぁ仕方ないから途中から一気にキャンセルじゃなくて適度にキャンセルに変えたけどね。


 それでタイムが三〇分とか並みのものに変わったし大丈夫かと思ったら、それでもやり過ぎとか言われてどうせいって感じ?


 まぁそんなわけで今日は今日で自分なりに自重しながら、セントラルアーツから南東の方にあるウシザの森っていうとこにあるダンジョンを攻略したんだけどね。


 ちなみにCランクで入れるダンジョンでは、ここが最も難しいとされていて階層も三〇層とかなり深かった。

 あぁそういえば、セントラルアーツ近辺には最高でもCランクのダンジョンしかないって話でもあるんだけどね。


 で、今回は更に遠慮がちに進んで、一時間ぐらい掛けて最深部に辿り着いてボスとご対面になったわけ。

 

 ちなみにこのダンジョンは他と違って、最深部に神殿があってボスはその神殿の中にいたな。

 ゴールドミノタウロスという魔物だったけど、この魔物、ミノタウロスっていっても、頭に牛の角が二本生えてるぐらいで、それ以外はなんか筋骨隆々で厳ついおっさんって感じだった。


 じゃあなんでゴールドなんだって感じだけど、なんかこの魔物、着ている鎧がゴールドだったんだよね。


 で、なんか俺には一度見た技は通用せぬ! とか偉そうな事を言ってたけどね。

 でも、そもそも俺の技一度見たらもう死んでるからね。

 本当か嘘かしらないけど、全く意味がなかったわけだなこれが。


 それにしても、ちょっとキャンセル居合決めただけで随分派手に吹っ飛んでくれたな。

 回転しながら頭から落ちてたし。

 

 まぁそんなわけで攻略して帰りもわりと地道に帰ったら、タイムが二時間一五分だった。

 うん、これなら問題ないだろと思ったんだけど、メリッサの鑑定によると(鑑定はダンジョンにも使えるようだ)これまでの最速記録は一五時間四五分だったらしい。


 てかこれ悪いの俺じゃないし! みんな遅すぎだろ!


 まぁでもクリアーしちゃったものは仕方ないしな。

 キャンセルで街に帰ろうと思ったけど、またなんかブツブツ言われそうだしって事で、たまには歩いて帰ろうって話になった。

 俺のキャンセル効果でメリッサもセイラもかなりレベルは上がって既に50近いしな、このあたりの魔物じゃもう相手にならないからやられる心配もない。

 

 気分はハイキングってところかなっと。

 

 まぁそんなわけで森を三人でのんびり歩いていたわけだけど――





「おらこのクソガキ! 大人しくしやがれ!」


「いやぁ~みゃみゃ~ぴゃぴゃ~」


「いつまでも泣いてんじゃねぇぞ!」


「てめぇの親なんざもういねぇんだよ! ボケが!」


 ……森のなかでよくこういうのに出くわすな俺。

 まぁそれはそうと、これまた三人組の男がエルフの幼女を無理やり引っ張って連れて行こうとしてるわけだけどな。


「あのご主人様……」

「あぁ、勿論助ける」

「……死刑」


 セイラも中々過激だな。ただあいつら気になることいってたからそれは確認しないとな。


「お前ら、そんな可愛らしい幼女相手になにしてくれてんの?」


「あん! 誰だテメェは!」


 そんなわけで俺は藪の中から出て、連中に聞いてみたけど逆に誰何されちゃったよ。


「俺は冒険者だけどな。で、何やってんだって聞いてんだけど?」


「あん? 冒険者だ? ちっ、言っとくけどな! 俺達は奴隷が逃げたから捕まえに来ただけだぜ!」

「そうだ! これは俺達の商売道具なんだよ! 文句を言われる筋合いじゃねぇぜ!」

「てめぇだって、ふたりも奴隷連れて歩いているわけだしな!」


 うん、まぁそれが事実ならな。


「メリッサ本当か?」


「いえご主人様。鑑定しましたが、こいつらはそもそも奴隷商人じゃありません。正式な手続きを踏まず、攫った者を裏で売り払うという極悪人です」

「……そもそも子供……奴隷禁止」

 

「だ、そうだけど、どう説明すんの? あ、ちなみに俺の奴隷、鑑定持ちだから」


 俺が連中にそう告げると、チッ! と舌打ちして腰の得物を抜き始めたな。


「馬鹿な奴だ、黙って立ち去ればいいものを」


「まぁそこはほら。俺フェミニストだし」


「こいつ、何余裕ぶってんだ?」


「言っておくが俺達のレベルは30超えだぜ?」

 

 しょぼ、メリッサとセイラにも勝てないじゃん。


「なぁ、一つ聞きたいんだけど、その子の親がいないってどういう事?」


「あん? んなもん殺したからに決まってんだろが」

「女のエルフはちょっと惜しかったけどな」

「まぁその分、テメェを殺して奴隷を奪わせてもらうか、勿論俺らで楽しむためにな!」


「あ、その言葉でお前ら、もうすぐには殺さないこと決定ね」


「はぁ? てめぇ何言って……」


 キャンセル――





「ふぎょおおぉおおおおお! やめて、もうやめてくださーーーーい!」


「ダメに決まってんだろ。はい、もう一回チン切り」


「ぎょひょおおおぉおおおひいいぃいいぃい!」


 で、キャンセルで戻して。


「あ、あぁ俺の、俺のゴン太……」


 で、チン切り。


「がぶぉおおおおぉおあおおがああぁぁ!」


 さてこっちはと。


「い、いやだぁ、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


 はいズボッと。


「あ"ーーーーーーーーー!」


 まさかこいつ、穴に槍打ち込まれて気持ちよくなってはいないよな? 

 ……あ、泡吹いて気絶してる。

 やっぱそんな筈なかったか。ダンジョンで見つけたハリセンボンみたいに刃が出まくった槍だしな。

 とんだアナルブレイカーだぜ。


 じゃあもう一回キャンセルで起こしてっと。


「はっ! なんだ夢か……」


 違うに決まってんだろ。はいズボッ!


「ア"ーーーーーーーーーーーーーー!」


 また気絶かよ。

 まぁいいか。さてこっちも――


「ひいいぃいいぃいい! 俺の玉! なんでも言うこと聞きますからーー! もうそれだけはーーーー!」


「なんでも言うこと聞くの?」


「は、はい! はい! もうなんでも!」


「あっそ。じゃあ玉潰しね」


「ぶぐうううぉおおおぉおおおお!」


 一個潰したらもう一個。


「あひょっひゃひゅひぇひょーーーーーー!」


 で、キャンセルして。


「たま、俺のたまたまが……」


 で、二個同時にぐしゃ! と。


「ふぁらたみゃりゃんりゅっりょおおおおぉお!」


 うん、まぁそんな感じのことを何十回か続けて、もういいかなって思ったから全員細切れにして森の肥料にした。


 ちなみに助けた幼女エルフは、メリッサとセイラにお願いして、ちょっと離れた場所に連れて行って待機してもらっておいた。


 やっぱ子供に見せられる行為じゃないしな。


 まぁそんなわけで三人のもとに戻ったわけだけど。





「お兄たんありがとうなの」


 緑色のチュニックに身を包まれた幼女エルフが、俺に頭を下げてお礼を言ってきた。

 どうやら俺が拷問してる間、メリッサやセイラと話をして、助けてもらったという認識はもったようだけどな。


 でも……可愛らしいな。何この破壊力。

 背中まで伸びた金色の髪は痛み一つなくサラサラで、目はくりくりっと大きなゴールデンアイ。

 肌は雪のように白くてきめ細かい。

 

 で、先の尖ったエルフ特有の長耳。見てるだけで悶え死にそうだ。


 ただ――


「これからどうしようかって話だよな……」

 

 俺がそう口にすると、幼女エルフが途端に悲しそうな顔になった。


「エリンやっぱり売られちゃうなの?」


 エリンというのが名前か……てか、あぁ泣きそうな表情に……それもまた可愛いけど、でもあの話だともう帰る家族がないんだよな……


 だから俺はエリンの前で腰を落とし、そしてその綺麗な金髪を撫でてあげる。


「大丈夫、俺達はそんな酷いことしないよ。そうだ! よかったらお兄ちゃんたちと一緒に来るかい?」


「え!? ご主人様宜しいのですか?」

「当然だ。放っておけるワケがないだろ?」

「……聖人のよう」


 流石にそこまでいくとちょっと大袈裟な気もするけどな。

 まぁ何はともあれエリンの気持ちだけど。


「……エリンついて行っていいの?」


 お、これは。


「勿論! 俺がそういってるんだからね。エリンが望むならこれからは俺達が君の家族さ」


 すると、にぱぁ~と天使のような笑みをこぼして、お兄たんありがとう! と抱きついてきた。

 あ、やばマジ天使――


 なんかメリッサも頬をだるんだるんにさせて、セイラも表情には出てないけど、なんとなく愛らしい物を見るような目になってる気がする。


 まぁそんなわけで、俺達は新しく増えた家族と一緒にセントラルアーツに戻ることになった――

 

家族が増えました



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