第三話 アーツの街の危機!?
「おうルーキー! なんだ偉そうなこと言ってもう戻ってきたのか? ははっ! まぁそうしょげるな。寧ろ命あることを――」
「倒したよ」
「はい?」
なんか言わんこっちゃない、と言わんばかりに大口広げて笑い出すオッサンにハッキリと告げる。
「だからゴブリンボス倒してきたって」
「ば! 馬鹿言ってんじゃねぇ! お前入ってまだ一〇分も経ってないだろうが!」
「これが証拠な」
俺はゴブリンボスの核を見せる。普通の核と違ってなんか刺々しいからわかんだろ。
「……これは確かにゴブリンボスの核――」
「だろ?」
「本当に倒したのか?」
「ご主人様は、一応嘘は言っておりません。常識はずれもいいところですが……」
「……昼も……夜も……化け物」
どうでもいいけど奴隷ってこんな事ご主人様に言っていいの? まぁその分、夜はお仕置きだな。
「それはそうと約束通り土下座ね」
「本当に申し訳ありませんでしたーーーーーー!」
見事なジャンピング土下座だな。
でも、うん、スッキリした。さて受付に報告に行くか。
あ、セイラの槍はそのまま持ち歩くの不便そうだから小さくさせといた。
伸縮自在なんだこの槍。
さてっと、多分これって受付嬢に惚れられるパターンだよね?
「……こんな短時間でダンジョン攻略ですか――」
「そう。凄いっしょ? 惚れた?」
「惚れたというか、正直怖いです……」
なんでだよ!
「私もその気持ち少しわかります……」
「……慣れた」
わかるのかよ! てかセイラ順応性高いな。流石だ。
「では、これが賞金一〇〇〇〇ゴルドです」
「ありがと。今度飯でもどう?」
「それと今回のダンジョン攻略でランクがFからEに上がりました」
「無視かよ」
「それも仕方ないかと……」
「……私がいる」
セイラはいい子だな。夜はたっぷり可愛がろう。メリッサはお仕置き決定。
「でも時間余ったな~ダンジョンってどこも自由に入れるの?」
「いえ、制限がないのは初心者向けのこのダンジョンだけです」
受付嬢が教えてくれた。どうでもいいけど常に猫耳がしょぼんとしてんだけど何でだ?
「Eランクで入れるダンジョンって一番近くでどこ?」
「東の鉱山近くにあるマウントダンジョンですね。地下一〇層まであるダンジョンです」
「そっか。じゃあそこいってくるかな」
「え!? ですがEランクで入れるとはいえ、敵はこことは比べ物になりませんし、しっかり準備されたほうが……それに近いと言っても馬車で二日掛かりますし」
「あぁその程度なら問題ないよ。まぁすぐ戻ってくるから」
「はぁ……」
気のない返事を見せる猫耳受付嬢を他所に、俺はギルドを出てそのマウントダンジョンを目指した。
手強い敵か――なんかわくわくするぜ!
「ただいま。攻略してきたよ」
「えぇええええええぇえええぇえ!」
凄い驚かれてるな。
まぁ、移動に数秒、地下一〇層までで数秒、そしてボス退治に数秒で、後は雑談してから返ってきたんだけど、それでも戻るまでに五分掛かってないだろうからそりゃそうか。
「え、え~と本当ですか?」
「これボスの核ね」
カウンターの上に置く。
ちなみにボスはコボルトジェネラルという、犬みたいな頭した亞人ぽい魔物だった。
「……本物ですね。では賞金として五〇〇〇〇ゴルドです」
やったぜ! とはいっても金余ってるしあんまり嬉しくもないけど。
こうなったら家でも買おうかな……
「メリッサ、この街の家の相場ってどれぐらい?」
「は、はいご主人様。大体五〇万ゴルドぐらいです」
安いな。余裕で買える。
「……マイホームは庶民の夢」
そういうのはどこも一緒だな。
「ヒット様の実力でしたら家ぐらいすぐ買えそうですね――」
受付嬢がため息混じりにいう。何で呆れ気味なんだ? あと今すぐ買えるんで。
「おいこらてめぇ!」
「俺達のニャーコちゃんになにきやすく話してやがるんだこら!」
「今すぐその場から離れて消え失せろ!」
何だ突然? なんか同じ顔した三人組が因縁つけてきたな。
髪の毛とかボサボサの不潔そうな奴らだ。
装備品も皮の鎧で統一してる。
てかニャーコっていうのかこの受付嬢。
「やめてください! ヒット様は依頼を終えて戻ってきたので話をしていただけです! 仕事の関係です! それ以上の事は全くありませんから!」
そこまで断言されると軽く傷つくな俺。
「てめぇニャーコを脅して無理やり言わせてやがるな!」
「ふてぇやつだ!」
「しかも可愛らしい奴隷を二人も連れやがって!」
「「「今すぐ俺達に寄越せ!」」」
「このうざったいの何?」
三人組を指さして聞いてみる。
「は、はい。三つ子の冒険者で本人たちはデススリースターズと勝手に名乗ってます。ただランクはCなので実力は確かにあるのですが……何故かいつも三人揃って私にしつこく迫ってくるんです」
「「「俺達は三人で一つ!」」」
「やっていいの?」
「懲らしめる程度ならお願いしたいぐらいですが……ただ、今もいったようにCランクでそれなりの腕があるので……」
「あぁ、大丈夫大丈夫」
ニャーコに安心するよう告げて、俺はなんとか三連星の前に立った。
「あの……止めなくていいのですか?」
「ご主人様なら大丈夫です。ただあの三人組がどうなるか……」
「……瞬殺」
「てめぇ!」
「俺達なめてんのかこら!」
「ぶっ飛ばして二度とここに近づけねぇようにしてやる!」
はいキャンセルっと。
「「「ぶぼぉおおおおぉおおおおお!」」」
三人纏めて錐揉み回転しながら天井にぶち当たり、その後べシャッと床に堕ちたな。
只のアッパーカットなのに。まぁキャンセルしたから拳も見えなかっただろうけど。
「さてじゃあちょっと片付けてくるね」
「え? 片付けるって――」
受付嬢の質問を聞く前にキャンセルで移動し片付けてくる。
「終わった終わった」
さくっと戻って、ニャーコの前で手をパンパンッと叩きながらスッキリした顔で告げた。
「え、え~とあの三人はどこに?」
「うん。西に薬草がよく採れる森があるだろ? あそこに埋めてきた。これでもう、ちょっかい掛けてくることないと思うよ」
「埋めて……そ、そうですか。あ、ありがとうございます」
おっとこれで好感度アップかな? でもなんか笑顔が引き攣ってるんだよな~。
「もう凄すぎて、逆に何が凄いのかわからなくなりますね……」
「……超人外」
なんか人外レベルがアップしてないかこれ……
「た、大変だ~~~~!」
さて、まだまだ時間余ってるしどうしようかなと思ってたら、なんかいかにも脇役っぽい冒険者が、息せき切ってギルドに飛び込んできた。
「どうしたのですか? そんなに慌てて?」
「ぎ、ギルドマスターを……緊急事態だ! 魔物が大量にこの街に攻めてきている!」
大量の魔物? てかその話で、ギルド内が急に静かになってみんなの表情も強張ったな。
「話は聞いたぞ」
「ギルドマスターーーー!」
タイミングよすぎだろ。
まぁとりあえず、この二階から下りてきた白髭を蓄えた筋骨隆々の男がギルドマスターらしいけどね。
「メリッサ。あれ強いの?」
「ちょ! ヒット様、マスターにあれは流石に失礼です!」
ニャーコに怒られた……ちょっとしょんぼり。
「ギルドマスターはさすがに強いですね……レベルも250ですし」
ギルドマスターでも250しかないのか……
「流石のヒット様もレベル250と聞いては驚きを隠せないようですね」
いや、ガッカリしてるんだけどな……
「それで敵の詳細はいかほどなのだ?」
偉そうなマスターが、知らせに来た冒険者に詰問する。
「は、はい……北西からキングオーク率いるオークが総勢一〇〇〇体程――」
「一〇〇〇だって……」
「オークがそんなに……」
「駄目だ勝てるわけがない――」
なんかギルドにいる冒険者達がざわつき始めてるけど……
「オークってそんなに強くないよね?」
「とんでもない! オーク一体を倒すのにCランクの冒険者が数名パーティーを組んでやっとといったところなんですよ! おまけにキングオークはAランクの冒険者が入ったパーティーでないと話にならないとさえ言われているんです!」
それ聞いても、あんまり凄そうに思えないんだよなぁ……
「えーーい! 情けないことばかりいいおって! 良いか! 我ら冒険者にとって一番大事なのは人々を守る事に――」
マスターが、怖気づく冒険者に説教しだしたな。 まぁいいか。
「ちょっと行ってくるよ」
「え? ご主人様どちらへ?」
「ん? なんかあのマスターの話し長そうだし、俺がさくっと魔物倒してくるよ」
「え! ヒット様何をいってい――」
キャンセル!
てわけで、メリッサとセイラもおいて俺は魔物の大群を相手にするために街の外に出た。
ふたりには悪いけど今回は足手まといだしな。
さてっとチャッチャとやっちゃいますか――




