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異世界最強のキャンセラー~レアなキャンセルスキルで無双する~  作者: 空地 大乃
第四章 領主編

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第二十八話 日程調整と相談と

「旦那様、王国から叙任式に日程が決まったと封書が届きました」


 相変わらず俺がメリッサやセイラ、それに今日はアンジュにも手伝ってもらって書類に目を通したり、今後の領地経営についての話(と言っても経営は基本アンジュに任せる方向だけど)をしていると、セバスチャンがそんな事を知らせにやってきた。


「決まったのか。それでいつなのだろう?」


「はい、七日後に執り行われるとの事です。その為今回の主役となられる旦那様には前日から王都の方に来ていて欲しいと」


「七日後か結構先なのだな」

「いえ、本来はそれでも急な方なのですが……しかし、ご主人様は能力があるので宜しいですが、参列される皆様は場所によっては厳しそうにも思えますね」

「うむ、七日では参加したくても参加出来ないものがいてもおかしくないな」

「……ご主人様だけで、いい」


 厳しい? 参加できない? あ~でもよく考えたら馬車しか移動手段ないしな~。

 俺はキャンセルで数秒で飛べるけど、辺境の貴族とかは大変そうかも。


「その辺りはご心配なくとの事で、希望者にはペガサス馬車を迎えに出してくれるそうです」


 へ? ペガサス馬車?


「ペガサスってあのペガサス? あの翼の生えた?」


「左様でございます。勿論旦那様にもどうされるか返事が欲しいと書かれておりましたが」


「うむ、王都のペガサスは周辺諸国の間でも有名であるからな。


 うわ~やば、めっちゃ興味あるんですけどペガサス馬車!

 

「ペガサス馬車だとやっぱり速いのだろうか?」

「そうですな。ここからですと、ペガサス馬車であれば一日で王都まで辿り着きます。王都から尤も遠い辺境であっても三日ですな」


 て、事は、普通の馬車だと王都まで一〇日掛かるって話だから単純に考えても十分の一か。

 てか、三日かかる辺境は王都まで馬車だと三〇日も掛かるのか……大変だな。


「ふむ、ペガサスか……正直移動の速さならキャンセル使用した方が手っ取り早いけど――」


「ご、ご主人様! ご主人様はそうやってすぐ力に頼るのがいけません! それに領主として! ここはやはりどっしり構えてペガサス馬車で送迎してもらうべきです!」


 ……あれ? なんかメリッサが妙に必死というか寧ろどこか興奮してるような?


「もしかしてメリッサはペガサスに乗りたいの?」


「べ、別に私が乗りたいとかではなく、そ、それは全く興味が無いといえば嘘になりますが、ですがここはご主人様の為を思って!」


 あ、乗りたいんだ。


「セイラは?」

「……ご主人様と空の旅、くふっ、くふふっ」


 訊くまでもなかった。てか、無表情でその笑い方は怖いよセイラ。


「私は乗り慣れているが、確かにペガサス馬車は貴族でも所持しているのは少ないからな。こういう時でないと中々機会に恵まれないかもしれない」


 なるほど……しかし乗り慣れているとは流石はお姫様だな。


「まぁでも折角だし、じゃあペガサス馬車のお世話になるとしようかな。手配の方よろしく頼むよ」


「承知いたしました。それでは出発は余裕を持って四日後辺りで知らせておきますか?」


 う~ん、確かに基本余裕を持っておいた方がいいだろうしね。


「そうだね。ではそれでお願い」


「はい。ところでご主人様、ドワンゴ商会の件ですが、こちらは三日後に謁見をと話を頂いておりますが」

 

 引き続き、どう致しましょうか? と目で訪ねてくる。

 ドワンゴって、あぁなんか大商人が会いたいって話か。


「じゃあそれもその予定で、後は何かある?」


「はっ、そうですな。これは改めて来たお話ではあるのですが、実はこの街より西に徒歩で半日ほど進んだ先にございますヤカラ村より、近くの川が干上がってしまい水不足で作物が育たないという相談が来ておりまして――」


「川が干上がっているだと? それは大変ではないか。悠長にしている場合ではないのではないか?」


 アンジェが怪訝な顔つきで言った。

 う~ん確かに水の確保は大事だよね。


「はい……実はこの話は、前領主の時から相談を受けていたのですが、その時は取り敢えず水を瓶にいれて送り、あとは若干の費用を負担しただけで解決したという事になっておりまして」


「何? つまり物と金だけ与えて終わったという事か?」


 憤慨した様子でアンジェが文句を言った。

 まぁ確かにそれじゃあ根本的な解決には至らないもんね。


「判った。じゃあこれからその村にいって話を訊くとしよう」


「承知いたしました。それでは早速馬車の手配を」


「いや馬車は必要ない。メリッサも流石にこれは」

「そうですね。こういう時は寧ろ積極的に使用していいt思います」


 よし! 許可が出た!


「ならば私も同行するとしよう。一国の姫として、そのような事態であれば立ち会わねば!」


 拳を握りしめて、流石アンジュは真面目だな。


「……勿論私も一緒」


 まぁそりゃそうだよね~。


 さて、じゃあ後は――






「ヒット~~~~!」


 講義の部屋に入った瞬間、イームネに抱きつかれた。

 そして人目も憚らず、俺の胸に顔を寄せすりすりしてくる。


「コホン! イームネ、少し節操がなさすぎるぞ。何より教え子が驚いている」


「ふん、大丈夫じゃ! 何せ妾は講義の中にもしっかりと妾とヒットの愛のなり染も教えているからのう」


 ちょ! 一体何を教えてるのさ!


「やはりイームネも相変わらずですね」

「……くっつきすぎ、ぐぎぎ――」


 いや、まぁメリッサの言うとおりらしいといえばらしいけど……


 で、そもそもイームネが何をしてるかといえば、この屋敷に仕える事となった魔法使いとかに、魔法についてのレクチャーをしているんだよね~。


 何せ結局イームネの力は見てなかったけど、ヴァンパイアクィーンってだけあって、魔力も高いし、色々と魔法も得意らしいからね。


 魔法に関して言えば俺は使えないし、ちょっと憧れるぐらいだ。

 機会があったら魔法で闘うところみてみたいかも。


「――というわけでこれから俺達で、そのヤカラ村に行くだんけどイームネも来る?」


「当たり前なのじゃ! 行かない理由がないのじゃ! 当然一緒にいくのじゃ!」


 事の顛末を説明すると即答だった。

 うん、まぁやっぱそうか。


「……講義、途中放棄、無責任」

 

 と、思ったらセイラが指を突きつけてイームネに抗議する。

 あ~確かにそこは中途半端ってわけにもいかないよね。


「む、むぅ、そ、それは後は自習で済ますのじゃ!」


「いや、流石にそれは不味いだろう。それに教え子たちも期待しておるだろうし、何より今後の為にも魔法使いのレベルの底上げは大事だ」


「む、むぅ~」


 イームネが口を尖らせた。それも可愛いけど、でもまぁ確かにね。

 実はアーツ地方はこれまで騎士や兵士を私兵として採用してはいたけど、魔法使いにはあまり頼っていなかった。

 でも魔族の入れ替わり事件を受けて、やはりいざという時の為にも魔法使いもいたほうがいいという話になったわけ。

 

 メリッサみたいに鑑定持ちがいても見破る事は可能だけど、鑑定スキルは希少らしいし、それなら多少制度は落ちるけど魔法でも似たような事が出来るというのもあるしね。


 それにこの街は冒険者でも魔法使いは登録者が少なかったらしいしね。

 だからその辺も含めて、少しでも才能あるものはイームネの講義や特訓をうけて実力を伸ばしてもらおうというわけ。


「でも妾は一緒にいきたいのじゃ!」


「だよね~よし、じゃあここはキャン――」

 

 て、言おうと思ったらメリッサに睨まれた。

 これは駄目なのか……


「ふぅ、仕方無いのう。これは結構疲れるのじゃが、一緒に行くためじゃ! 闇魔法ドッペルケンガー!」


 え? 魔法? て! うぉ! 何かイームネがふたりに! おっぱいが四つに!


「こ、これは闇魔法……さ、流石魔族だな」

「……巨乳が増えた、ぐぎぎ――」

「セイラそこに文句を言っても……でもこれだけの魔法を無詠唱は凄いですね」


 セイラはともかく、アンジュとメリッサは感心してるな。

 俺も驚いた。イームネの創りだした分身は若干肌が暗い事を除けば本人そっくりな出来。

 ……これうまくやれば夜が――


「なんで鼻の下伸ばしてるのですか……」

「な、何を考えているのだヒットは!」

「ヒットが望むならば、妾はこれでどんな奉仕でもしてみせるのじゃ!」

「……やはりおっぱい、むぎぎ」


 なんでみんな俺の考えてること判るんだよ!


 まぁそれはそうとして、これでイームネは自分の分身に講義や特訓を任せて一緒にこれる事になった。


 一応この魔法は魔力の半分を消失して創ってるらしいけどね。

 まぁ今回は別にそれが問題になることもないだろしな。


 で、後はカラーナとエリンだけど、実はエリンは少し前から街の学び場に通わせている。

 やっぱりずっと屋敷に閉じ込めておくわけにもいかないしね。

 それに同じぐらいの年齢の友達も欲しいだろうし。

 勿論人間換算でって意味だけどね!


 で、送り迎えはカラーナにやってもらっている。

 可愛らしいエリンを一人にさせて何かあったら大変だもんね。

 

 だからまぁ、二人は村にはこれないけど、どうせ夜には戻るつもりだしね。

 と、いうわけで、準備が整ったところで、俺達はキャンセルでヤカラ村に向かうのだった――

 


 

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