第二四話 贅沢?
セバスチャンが各部屋を案内してくれたけど、屋敷は思ったよりも広かった。
前来た時に見取り図みたけど、あれは領主に化けてた黒幕倒すのが目的だったからあんま詳しくみてなかったからね。
そんなわけで、なんか案内だけで一時間以上掛かったし。キャンセル使えば良かったかもとか思っちゃったよ。
おまけに屋敷のある土地には使用人達の過ごす宿舎みたいのが別に用意されているから、この屋敷にメインで済むのは俺と他のハーレムメンバー達と娘のエリンだけという事になる。
マジか殆どの部屋あまるじゃん!
そして俺達が済むことになる屋敷の部屋には各部屋にトイレ完備、お風呂完備、更に広々としていて浴槽が何個も備わり、更にライオンの口からガバガバお湯が出るあれのついた大浴場まで用意されていた。
凄かったのはサウナもしっかりついてたことだな。至れり尽くせり過ぎる。
ちなみに使用人に暮らす宿舎はお風呂もなくトイレも外に設置されてるらしい。
前の領主はあんまり使用人への待遇がよくなかったみたいだな。
「あ~疲れた~なんやほんま広すぎやねん!」
「うむ、しかし少々贅沢が過ぎる気がするな。ここの屋敷は元からこうなのか?」
「いえ、最初に用意されていた時はここまででは……しかし前領主が色々注文をつけたのでこのような形になりました」
「そうなのか? 全くけしからんな。この屋敷を拡張するのも費用は領民の税金から出てるのであろう。全くそれを自分の私欲のために利用するとは程度が知れるな」
アンジュが憤慨してる。プンプン頬を膨らます姿も可愛らしい。
「ヒットよ。お主はこのような愚かな為政は行わいようにな。まぁヒットの事だ、そのような事は――」
「セバスチャン。使用人の宿舎はもっと拡張する事は出来るのかな?」
「え? 使用人の宿舎をですか?」
「お前は言ってる傍からそれかーーーー!」
アンジュが偉い剣幕で吠えた。なんでそんなに怒ってるのか。
「でもアンジュ。流石に使用人の宿舎がこれは可愛そうだよ。セバスチャン普段はお風呂とかどうしてるの?」
「我々は井戸で水を汲み水浴びを行うか濡れた布で拭くかどちらかですな」
「水道もないの? お風呂やトイレは屋敷には付いてたけど?」
「そういった設備は魔導具を使用する必要もあるので費用が掛かりますからな」
前の領主は自分の屋敷にはバンバン費用を費やして、使用人の宿舎には手を抜いてたんだな。
まぁそれが普通の考え方なのかもしれないけど、でもなぁ。
「……ヒットよ。きっと優しさからの言葉なのかもしれないが、そういった事を改めるにも費用は掛かるのだ。その為には」
「大丈夫だよ税金には手を出さないから」
アンジェが全て言う前に俺が自分の考えを告げると、え? とアンジュが目を丸くさせ、セバスチャンの眉根が上がった。
「だから費用は全部俺のポケットマネーから出すよ。どうせ余ってるし」
「……それでヒット卿、宿舎をどのようにお考えで?」
「あぁそれなんだけど……」
俺はセバスチャンに要望を述べる。なんか今の作りだと狭い部屋にすし詰め状態みたいだし、流石に個室とまでは言わないけど二人部屋ぐらいにして、トイレなんかも各階に大きめのを作ってもらって、お風呂も大浴場を完備させて後は不便がないように井戸から汲み上げる形の水道を――
「……それですと概算では有りますが五〇〇万ゴルド程掛かってしまうかと思われますが……」
日本円だと五〇〇〇万円ぐらいか~でも材料費とか一人夫辺りの金額も違うからそれぐらいになるんだろうね。
「じゃあそれでお願い。お金は今渡しておいたほうがいい?」
「いえ、これ程までの金額になりますと銀行を通す事になりますので、正式な金額が見積もられてからで結構です」
「そっか~じゃあお願い」
「承知いたしました。お心遣い痛み入ります。使用人の皆も大変喜ばれると思います」
恭しく頭を下げて言ってきたけどちょっと大袈裟かな。
「……その、なんだ、本気なのか? 手持ちのお金からそのような大金を……」
「うん? あぁ大丈夫だよ。俺お金余ってるし」
「……流石ご主人様、素敵、です」
「うむ、この国の貨幣の事は詳しくはないが、妾も誇りに思うぞ!」
「ぴゃぴゃ偉いなの! ふくりこうせいなの!」
エリンはどうしてそんな難しい言葉を!?
「な、なんや、ヒットはそんなに金持ってるんか、これもしかして狙い目ちゃうか?」
カラーナが何かブツブツ言ってるな~
「ご主人様。今回の件はそれでも宜しいと思われますが、領主になられた以上、今後は税収をしっかり把握し、予算を立てきっちり運用していく必要がありますよ。そのことはお忘れなく」
メリッサが真面目だ! いや、まぁそうなんだろうけど……
「そういえばセバスチャン。お、私はこれからまず何をしていけばいいのだ?」
「はい、本日のところは長旅でお疲れでしょうから奥方様とご一緒にどうぞお休みください。お仕事の詳細に関しては私の方で纏め明日ご報告いたします。それに目を通して頂き必要があれば対策を講じて頂き、また書類に承認を頂いたり――
」
と、とにかく色々仕事はあるけど明日からってことだな。
うん、まぁ明日みてから決めるとしよう。
「というか――奥方様とはなんだーーーー!」
で、ここでアンジュがまた吠えた! いや俺もそこはスルーしてたんだけどね。
「その、陛下直筆で書かれた書状にはヒット卿と一緒に戻られるのはアンジュ王女含めて皆、ヒット卿と契を結ばれる方とお聞きしてましたので、あ、エリン様に限ってはお引取りになられた娘という説明も記載がありましたが」
「私はあくまで仮だ! まだ契などそんな! そ、そそそそそんな事ーーーー!」
「別に良いではないか。妾などとっくにその心積もりであるぞ」
「……ご主人様と契――結婚、うふ、うふふ……」
「……私は奴隷ですからご主人様のご意向に従うまでです」
「う、うち、まだそんな! はっきりとは決めてへんで!」
なんか、それぞれ頬を紅潮させながら性格にあった反応してるな~。
なんかメリッサだけドライだけど。
「ぴゃぴゃ凄いなの! ハーレムなの!」
「エリン! だから一体どこでそんな言葉を!?」
パパは心配です!
「まぁでも、それはそれでいいのではないかな~? 仮といっても俺はその気だし、勿論みんなともちゃんと責任を取るつもりはあるしね」
「そ、その気? その気というのは……ヒットはその私と――」
アンジュが瞳を濡らした状態で気恥ずかしそうにしてるから、耳元で俺の希望を伝えたら顔から湯気を噴出させて倒れちゃった。
処女なお姫様には刺激が強すぎたかなぁ?
「……ヒット様、嬉しい――」
「ヒットよ改めて誓うぞ。わ、妾の身も心も全てお主のものじゃ!」
「ふぅ、まぁ仕方ないですね」
「う、うちは何度も言うけどまだ決まったわけやないからな!」
とりあえずセイラとイームネはもう完全にその気だな~それにメリッサだって夜になれば、ね。
カラーナは……まぁなんとかなるっしょ。
まぁそんなわけで、今日はゆっくり休んで明日からの仕事に備えないとね~




