第一八話 謁見?
ネクロスのダンジョンも、ボスを倒せば扉が開き、後はウァンパイアクィーンも一緒にキャンセルでさくっと脱出した。
ちなみにクリアーした後、出口まで戻れるような便利な機能はない。
まぁだから、普通は脱出の魔道具を持っていくのが基本だけどね。
俺キャンセルあるからいらないけど。
てかダンジョンが進化した事で、本来は帰りの魔物は相当強力だったようだ。
なぜ判るかといえば、ダンジョンをキャンセルで出た後、セイラのレベルが95まで上がってたからだ。
レッサードラゴン倒せるレベルだな。
ヴァンパイアクィーンもレベルが上って今は180らしい。
俺ほどじゃないけど結構凄いのかもね。
「てか名前なんていうの?」
そういえば聞いてなかったことに気がついて訊ねる。
「え? 妾か? む、むぅ、ヴァンパイアクィーンとして生まれたから名前はないのう」
「う~ん、でも長いし不便だから名前は決めたほうがいいかな」
「おっぱい!」
いや、賛成! みたいに言うなよ。
「そ、それなら妾は、ヒット様に名前を決めてもらいたいのじゃ!」
拳をギュッと! 握りしめて大きな胸を揺らせながら懇願してきたな。
てか俺? う~んこういうの苦手なんだけどな……
「ぼそぼそごにょごにょ」
て、なんかおっぱいが耳元で助言してきたな!
てか……え? いいのかなこれ……
「い、イームネなんてどうだろう?」
「イームネ……う、嬉しいぞ! ヒット様にこんな素敵な名前を頂けるなど、妾は天にも登る気持ちじゃ~~~~!」
わお! 飛びついてきてまた胸をぐりぐりと、う、柔らかい感触が……
「…………油断ならない奴」
「いやセイラ無表情で血の涙はちっと怖いねん」
た、確かに怖い……でもしょうがないよね~。
う~んでもこの……いい胸、だからイームネって本当にこんなんでいいのかおっぱい!
◇◆◇
「いいおっぱいをありがとう! いずれまたおっぱいの導くままに!」
王都に着くと、おっぱいが俺達にそう言い残し、どこかへと去っていった。
嵐のような、いやおっぱいのような奴だったな。
でもまたどっかであってしまうような気もする。
まぁそんなわけで王都に戻ってきた。ちなみに王都はさすが王都だけに門は二四時間開いている。
夜の仕事に出たり、仕事を終えて夜中に戻ってきたりする冒険者が多いからのようだ。
流石王都だな。ちなみに夜の仕事と言ってもそういうのじゃないぞ。
さて新たに仲間となったイームネも一緒に宿に戻る。
「う~んむにゃむにゃ」
また受付が寝てるよ……本当に大丈夫なのかなこの宿?
普通に泊まる人数増えてるんだけど……まぁいっか。
で、部屋に戻ったら当然だけどエリンもメリッサも寝ていたな。
てかベッド狭いかなこれ?
「……ヒット様! これはいった……」
そこですぐにセイラがイームネの口を塞いでし~! と注意する。
エリン起きちゃうしね。
「し、しかしまさか子供が……それによく考えて見れば妾はこの娘ふたりとヒット様の関係をきいておらぬ。それにくわえまたひとり……うぅ……」
指をつんつんしていじけ出したな。
なんだ、ハーレム要因としてなっとくしてくれてたんじゃないのか?
まぁとりあえず説明キャンセル。
「……なるほどふたりは奴隷であったか。それにあの子は養子と……で、こっちの娘は愛人と」
「なんでやねん!」
カラーナうるさい。
「……理解したぞ。妾は判っておる。こういうのも男の甲斐性というのであろう? うむ理解した。出来る嫁は女遊びには寛大なのじゃ」
「……勝手に嫁いうな殺す」
セイラなんか怖いよ!
まぁそんなわけで、イームネも取り敢えず納得してくれたみたいだからその日は一緒に寝た。
エロはなしだぜ? エリンが近くにいるんだし。
カラーナはひたすら呆れた様子で部屋に戻ったけどな。
「ぴゃぴゃ~おはようなの~~!」
朝からエリンが抱きついてきた。
なんか俺超幸せ。
で、エリンは先ずセイラに目を向けて。
「二号さんみゃみゃおはようなの!」
……う、う~ん。
ちなみに当然だがセイラはメリッサを睨むようにして見てる。
まぁメリッサは知らんぷり決め込んでるけど。
「…………?」
で、今度はイームネに目を向けて疑問顔だ。
そりゃそうか!
だから俺が説明しようと思ったんだけど、エリンがぽんっと手を打って何かを閃いたようにイームネを指さした。
「三号さんみゃみゃなの!」
「え~~~~!」
イームネが驚いているけど間違いというわけでもない。
「いや、ていうかご主人様。私も説明が欲しいのですが……」
メリッサが眉を顰めながら怪訝そうに聞いてきた。
まぁ突然巨乳のヴァンパイアが増えてたらそう思うか。
だから、説明キャンセル!
「……はぁなんかもういいです。仕方ないですね」
理解してくれたみたいだけど、なんで諦めムード!
「おっは~ヒット今日も冒険者ギルドいくんやろ? うちもついていくで~」
「……いつまでついてくる気だ」
やってきたカラーナにセイラがおもいっきり不満そうに言葉を返したな。
俺はあまり気にしてないけど。
「いや~迷ったんやけど、やっぱヒットと一緒にいるとお宝ゲットできるしレベルもあがるやろ? だから~えぇやろヒットぉん」
いい感じに腕に巨乳を押し付けながら媚びるように言ってきた。
ふっ、だが俺がこんな色仕掛けに引っかかると思ったら……大当たりです!
「き、貴様! 妾のヒット様に馴れ馴れしくするな!」
「え? 寛大な心で接するのやろ? 大丈夫やってうち立場わきまえとるから」
「え? そ、そうか。それであるなら別に妾は気にせんぞ!」
気にしないんか。てかカラーナに上手く丸め込まれてないか?
「…………またライバル……でも、負けない!」
セイラから何か強い決意みたいのを感じる……
「すごいなの~みゃみゃがいっぱいなの~~!」
エリンは純粋だな~。
さて、じゃあってことで朝食を食べた後ぞろぞろと宿を出た。
あの受付朝も寝てるぞ……
「ヴァンパイアではなく、ヴァンパイアロードを倒した上、進化したネクロスのダンジョンをクリアーしてしまったのですか……」
受付嬢が唖然としてた。
てかバロメッツの実の採取もこなしたからね!
「と、とにかくこちらは私の方で精算しておきます。それと至急ギルドマスターの部屋にいってもらえますか? ヒット様が到着次第くるように伝えてくれと言われたので……」
ふ~ん、なんだろな? とりあえず行ってみる。
「……ヴァンパイアクィーンが仲間とか、お主どれだけなのじゃ! てかなんでヴァンパイアが朝から出あるけるのじゃ!」
「朝に弱いって弱点を消したから」
「……もうなんかどうでもいいのじゃ」
溜息混じりに呆れられた!
「何かこの幼女、妾と口調が似てて気持ち悪いのじゃ」
あぁそういえばそうだな。
まぁでもマスターは見た目ロリだし。
「わしだって違和感あるのじゃ。まぁいいのじゃ」
いいのかよ。
「それでヒット。お主を呼んだのは他でもない。王が会いたいと申しておるのじゃ。だから今すぐ一緒に謁見に向かうのじゃ~~~~!」
「えぇえぇええぇええええぇ!」
メリッサだけがやたら驚いているな。
それにしても王と謁見ってまた唐突だな――
2015/04/29は更新をお休みさせて頂きますm(_ _)m




