第一三話 ランクアップ!
「改めて、わしがガルグ王国王都ギルドのマスター! ドワーフのロワンである!」
……気のせいか、一瞬マスターの顔が劇画風のタッチに変わった気もするが気にしないでおこう。
「まぁそれでじゃ」
あ、戻った。
「お主たちについての大体の事は、先に届いている報告書で判っておる。なんでもキングオーク率いるオークの群れを一人で殲滅し、更に仲間と一緒に領主の屋敷に趣き、その正体が魔物であることを看破し滅殺したとな。全く大したものじゃのう。更に王都に来たかと思えば、早速盗賊団を駆逐し、レッサードラゴンまで退治するとは……なんなのじゃお主ら一体?」
「いやそう聞かれても困るんだけどな」
小首を傾げて可愛らしく問いかけられても、可愛いとは思えど返答には困るな。
「うむ……まぁいいわい。じゃがな、決して自惚れるでないぞ。世の中にはもっともっ~~と! すごい連中がごろごろしてるのじゃ! 例えばグレイトドラゴンぐらいなら一人で倒せる猛者がここにも一人!」
「……へぇ」
「何なのじゃその態度! もっと驚かんか! そして敬まうのじゃ!」
いや、そういうのって言われてするものじゃないし。
あと、グレイトドラゴンって確かにレッサーの上だけどレベルは500程度でしか無いし。
「も、勿論ご主人様はロワン様の事を尊敬しておりますわ! ただ少々照れ屋なところがありまして、中々素直になれないんですよ!」
メリッサが俺より前に出てそんな事を言った。
尊敬? 可愛らしい幼女だなぐらいは思うけど……
「ふむ、なるほどそうか! いやそうであったと思ったぞ!」
納得したんかよ! チョロいんだな!
「ふふん~まぁわしはマスターじゃからな。これからもきっちり尊敬し給えよ」
「……まぁそれはいいけど」
「ご主人様。そこは、はい勿論尊敬しております、ぐらい言ってあげて下さい!」
メリッサが耳打ちしてくる。
……はぁしょうがないな。
「判った判った尊敬してるから。で、これからどうしたらいいんだ?」
ご主人様~~! とメリッサの声。
言われた通り言ったじゃん!
何が不満なんだよ。
「……何か適当なきもしないでもないんじゃが、まぁえぇわい。取り敢えず王の返事待ちじゃな。それまでは王都で適当に過ごすなり依頼をこなすなりするとよいぞ。但しいつでも連絡が取れるようにしておくのじゃぞ。王に呼ばれとるのにいませんじゃ話にならんからのう。あぁそれと、下で受付嬢にギルド証を書き換えて貰うが良い。ヒットはランクをBに、メリッサとセイラはランクをCに認定しておいたからのう」
「え!? 私もですか!」
「うむ、まぁ聖剣エロスカリバーを持ってるような者がCランクというのも不満があるじゃろうが……」
「滅相もございません! 光栄です! 光栄の極みです!」
メリッサがなんか感動した様子でロワンに頭を下げてるな。
で、俺はBランクか……まぁ活動期間でいったらそんなとこかな。
て、わけで、話を終えた後はマスターの部屋を後にし、一階のカウンターで情報を書きなおしてもらう。
後でセイラともこないとな……
さてと、改めて依頼書の貼られた掲示板を見るが一つ気になるのがあった。
依頼内容:ネクロスのダンジョン探索
王都を出て西にあるネクロス墓地に存在するダンジョン(地下五〇層)の探索。
依頼条件:Cランク以上限定(パーティー推奨)
報酬:ダンジョンで手に入った物は自由にして良い。最下層のボス級魔物を倒した場合、初回のみ賞金として五〇〇〇〇〇ゴルドが出ます。
依頼内容:ネクロス墓地でのヴァンパイア討伐
王都を出て西にあるネクロス墓地に深夜ヴァンパイアが出没してる模様。迅速な排除求む。
依頼条件:Bランク以上限定(パーティー推奨)
報酬:三〇〇万ゴルド。
これ、ダンジョン探索は前からあったけど、ウァンパイアってのは多分最初来た時は無かったと思うんだよな。
だから受付嬢に事情を聞いてみる。
「確かにこの依頼は先ほどまで貼られておりませんでした。昨晩は他に依頼を請けた冒険者達が討伐に向かっていたからです。ですが墓地に様子を見に行った者が、墓場に落ちていた、依頼を請けた冒険者達のギルドカードを拾って持ってきた為、依頼が達成されなかったことを知り再度貼らせて頂きました」
「討伐なのに推奨じゃなくて限定なんだ」
「はい。ヴァンパイアに噛まれた者はヴァンパイアミニオンとなり、主の為に戦う兵士となります。それにヴァンパイアミニオンもヴァンパイアと同じく生き血をすすります。純粋なヴァンパイアと違い、ミニオンに血を吸われた人間が同じミニオンになる事はありませんが、ウァンパイアよりミニオンの方が食欲旺盛なため、相手が死ぬまで血を吸い続けます。なので下手な冒険者が手を出してもウァンパイアによってミニオン化され、被害が拡大する可能性が高い為、制限を設けてます」
なるほどね。
「それだと依頼失敗した冒険者もミニオン化してるんじゃない?」
「はい恐らく……実は昨日まではこの依頼Cランク以上としておりました。これまで各地で現れたヴァンパイアですとそれで十分でしたので……しかし今回の失敗を受け、Bランク以上に変更致しました」
「そういうことか。ちなみにミニオン化した冒険者はどうなるの?」
「……一度ミニオン化するともう人に戻ることはありません。主を失ったとしても徘徊して人の生き血を求めるだけの存在となります。ですので一緒に排除してもらうしか……」
受付嬢が沈痛な面持ちで口にする。
まぁこの間までギルドに来ていた冒険者を殺せと言ってるわけだしな。
「了解。その依頼を請けるよ」
「え! 本当ですか!」
「あぁ今夜にでも行ってくる。問題ないよね?」
「勿論です! レッサードラゴンを退治されたヒット様が請けて頂けるならこんな心強いことはありません。あ、ですがくれぐれもお気をつけ下さいね?」
俺は受付嬢に判ったよと伝え、ギルドを後にする。
ちなみに墓地に行く途中にウールの森があるから、ついでにバロメッツの実の採取も請け、当然だがダンジョン探索も一緒に請けた。
う~ん夜は結構忙しいかな。
「なぁヒット。うちも夜一緒に付いて行ってえぇ? ヴァンパイアはともかくダンジョン探索は是が非でも同行したいねん! お宝あるやろしわくわくすんねん!」
カラーナもか……まぁ別にいいけど、お宝目当てだと、ダンジョンで一気にキャンセルショートカットてわけにもいかないか……あ、でも。
「もしかして宝箱を探索するスキル持ってる?」
「勿論や! 匂いとかで大体の位置は把握できるで!」
そっかだったら……
「じゃあいいよ。ただ単独行動はしないこと。あとメリッサはセイラ次第だけど、もし彼女が望んだら夜は交代ね」
「承知致しました。ではエレンちゃんとたのし、いえ、しっかり見ておきますので」
う~ん、恭しく頭は下げてるけど頬を緩めて嬉しそうだな。
メリッサはエレンにぞっこんだからな~
「ぴゃぴゃ~あいじんみゃみゃ~お帰りなの~」
「おう! ただいま良い子にしてたか?」
「いや、それより愛人ママって……」
うん俺も聞こえたけど、気にせずぱたぱたダッシュしてきたエリンを受け止め頭を撫でてやる。
「ぴゃぴゃに撫でられるの気持ちいいなの~」
あぁ俺もなんかこう、小動物みたいな喜びかたに癒やされるぜ!
「あのエリンちゃん、どうして私が愛人ママなのかしら~?」
あ、やっぱメリッサそこが気になるんだ。
で、エリンがメリッサに顔を向けびしっと指をさし。
「あいじんみゃみゃなの!」
ふむふむ。
「ほんさいみゃみゃなの!」
で、セイラを指さして、あぁなるほど。
「セイラ、貴方何をエリンに教えてるのよ!」
「……気のせい」
「何がよ!」
セイラがそっぽ向きながら答えたけど、メリッサが偉い剣幕で言いまくってるな。
女の争いこえええぇえぇ!
「……いや、てか、みゃみゃとかぴゃぴゃとかなんやねん! え? 娘!? てかエルフやん! この子エルフやん!」
重要な事は基本二回いうよね。
「カラーナ簡単に言うと説明キャンセル」
「むぅ、なるほどなぁ、エリンも中々思い過去を背負ってるんやな……」
本当便利だわキャンセル。
「まぁえぇわ、うちもここに部屋とったし夜迎えに来るで~」
俺は了解と告げた後、ふたりの間に割って入りキャンセル仲裁で仲直りさせ、セイラに事情を説明した。
セイラは二つ返事でオッケ~してくれたな。
で、早めにお風呂に入る。ちなみにエリンの事もあるので今回からは別々になった。
うぅ……俺の目の保養が……ぱぱが娘の裸見て何が悪い!
まぁとにかく食事をとった後は、エリンをだき枕にちょっと仮眠して――そして時が来た。




