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回想 其の四 覚醒

グランはフォンを抱きかかえると、リバロの消え去った川原を後にした。

彼より託されたフォンの重さを心と体に感じながら、、、、


 けれども、其の瞳には本来の輝きが戻りつつあった。

彼の言葉がグランの蟠{わだかまり}を断ち切ってくれたのだ、、、


何だか足取りも軽く感じられた、、、周りの景色も変わって見えた。


フォンも、暫くすると

 「おねえさん!ぼく、もう大丈夫!おろして?」

そう言うと自らぴょこんと、グランの腕から降りると元気に振舞って見せた。

 「あのね、グランでいいわよ、、フォン王子!」

 

 「そう、ぼくもフォンでいいよ、人の目もあるし”王子”はまずいよ!」


 「そうね、其処まで考えなかったわ、、さすが王子様!」


 「グラン!だ・か・ら・王子はまずいって!?」


 小さいながらも利発な子だった、一本獲られてしまった。

ナンダか可笑しくなった、、、

 フォンの目線まで腰を落とすと

 「ふふふ!、、、そうだね!フォン、さすが!」

 ウインクしながら、自然と笑顔になった、


 「だって、これでも王子だモノ!」

 小さな王子様は、腰に手を当てて胸を張ってみせる、


 「あらら?”王子”は駄目なんでしょ?フォン!」

 フォンの口に人差し指をあてて、戒めるようにつついた、


 「あっ、そうだった!?やっぱりグランには勝てないや!アハハ、、、」


 そう言いながらフォンがオドケテみせた時だった、いきなり木の影から現れた男がフォンの体を、抱えると勝ち誇ったように、おぞましい口調で言葉をはきだす。


 「はっ、へっへっ、へ!、、、見つけたぜぇー、此処にいたとはなぁー?」

 髭図らの男だった。

 フォンの首を腕で締め付けるように、押さえた。


 「あ!あの男、、!?、もう一人は?」

グランは、とっさに辺りを見回した。


 「あの腰抜けは、逃げて往っちまいやがった!もう兄貴でも何でねぇー」

 「とんだ臆病者だぜ!、銀色の髪の女が、おソロシィ、タスケテーだとよ!、、ハッ、ハハハ!」

 「もっとも其のおかげで、この金を独り占めできたがなぁー、もうけたぜ!へっへっへ!」」


 歯径まで見える不快な笑い顔で、腰の袋を持ち上げてみせる、、


 「今の話も聞いてたぜ、王子様たぁなー、金になりそうだ!おめーにも礼はさせてもらうぜ!」

 「体に触れなければ、妙な格闘術も使えまい、それに 催眠術にはモウ、カカラネェからなーハッはァ!」


 そういうが早く、何と!自分の腿を、短剣で突き刺した?、、、

おそらく痛みで催眠効果を消すつもりらしい、、、


 だが、今のグランはタジロギもしない、冷静な瞳で男の動きを追っていた。

男はグランのそんな変化も、見抜けぬほどの暗愚だった。


 「ガキを殺されたくなかったら、これから言うことをきけ!」

 「まず服を脱げ!楽しませてもらおうじゃねーか?」

 笑いながらフォンの体に短剣を突きつけた、、、

そして、あのときのように卑猥な言葉でなぶろうと様々な

 言葉をなげつけた、、、だが!?


 「わたしを、、これ以上、、怒らせるなぁー!!」

 まったく動じることなく

死神の目が宿った如く冷たい視線で男を恫喝した。

まるで別人のように、、、


 「!?、・・???」

 男はおもわず鳥肌が立った、、、獰猛な獣に

いきなり背後から、首筋に生暖かい息をかけられた気分だった。


 「な!何、、、何を、いいや、、がっってい、、ひぃぃ、、がる、、?」 

 震え上がりわけの分からない虚勢を張るのが精一杯だった。

 

 ・・・人は迷いが断ち切られ、何事にも動じない心が持てたとき、思わぬほどの成長を遂げるものだ、さらに守るべきものを得られれば、、なおさらである。・・・


 

 「コッ、このガキをー、、、どっ、どうに、、、へえぁ?」


 いきなりフォンに突きつけた短剣が信じられないほど重たくなった、、


・・・いや!?手が鉛のように重たい?・・・

 ”ズシン”と音が響くのではないか、

というくらいの勢いでそのまま地面に短剣ととも落ちると、

張り付いたように動かなくなった。


 「グラ〜ン!」

其の隙にフォンは男の元から抜け出し、手を広げたグランの腕に飛び込む!

  

 「フォン!目を閉じて絶対あけちゃ駄目よ!」

 グランは、さらにフォンの耳を塞いだ。

 男の薄汚い断末魔の叫びなど聞かせたくはなかった。


 ・・・グランの髪が銀色に輝く!怒りを放つように!・・・


 「がぁ、、はぁ、、、、、、ぶっ!」

 男の体は、引き裂かれるように飛び散ると、破片はチリと消え、

腰の袋だけが残った。


 一瞬、真っ赤なしぶきが舞ったが、其れも何事もなかったかの様に消えさった。


   ・・・バニラの香りだけが残った。・・・


                        


                               つづく


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