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チュンチュン
鳥のさえずりで目が覚めた。いつの間に寝てしまったのかしら……。あ、ラデル。適当
に身支度を済ませて食堂へと走った。
食堂ではラデルが朝食の準備をしていた。
「おはようございます。もう少しゆっくりされてはいかがですか」
ううん。何か手伝うわよ。
「いやいや、お客様にお手伝いなんて。では、こちらでもう少々お待ちください」
といって、渡されたのは紅茶のティーカップとソーサー。ラデルが持ってきたのはティ
ーポット。そして注がれるオレンジ色の液体。
「ブレックファストティーには、アッサムを用意してみました」
添えられたのはたっぷりのミルクとお砂糖。まずはストレートで貰おうかしら。すっき
りとしてて美味しいわね。それにミルクを加えてまろやかに。
「朝食の準備が整いましたので、このままお持ちいたします」
運ばれたのは香ばしく焼かれたバゲットと、ふわふわのスクランブルエッグ。肉汁が今
にも飛び出しそうなソーセージ。コーンをふんだんにつかったポタージュなどと朝から結
構ボリューム感があった。
「……本日、ご出発されるのですか」
ラデルは聞いてきた。ええ、そのつもりよ。一日、どうもありがとう。
「こちらこそ。とても楽しいお時間を有難うございます」
なんだか名残惜しいけど、私はトレジャーハンター。あまり休んでなんていられないわ。
朝食が済み、食後の紅茶で一息。なんか……三日位休んだ気がするわ……その位寛いで
いたということかしら?自分に気合を入れて部屋で忘れ物がないかのチェックと身だしな
みのチェック。ここは絶対に譲れないところよ。全て点検が終わったところでラデルがい
る(と思われる)玄関ホールへ向かった。
「準備は整いましたか」
背後から聞きなれた声がした。ええ。もう準備万端。いつでも出発できるわよ。
「左様でございましたか。お客様、最後に私と一つ、お約束をお願いできますか」
あら。なにかしら?
「またいつかお客様とお会いできる……そんな気がいたします。それまでにまた素敵な御
話を仕入れて、私に聞かせてくれませんか」
ええ。もちろんよ。約束するわ。私もラデルとまた会える気がするの。
「それは光栄でございます。それでは、お気をつけていってらっしゃいませ。お嬢様」
お、お嬢様って……え?どういうこと?
振り返るとさっきまで私が立っていた場所はただの更地だった。豪邸なんてどこにあっ
たのかすら、わからない程。今までのは夢だったのかしら?
ごそっ
ポケットを探ると中から小さな包みが出てきた。開くと……。もうラデルったら。私が
昨日口にしたクッキーが入っていた。一口かじってみた。
うん……美味しいよ。ラデル。
昨日食べた筈のクッキーがなぜか懐かしく思えた。そして、昨日食べたクッキーよりも
少しだけ甘く感じた。
このお宝(経験)は私のだから♪誰にも渡さないわ。
またラデルに会う日まで、私は次のお宝を目指して足を動かした。さて、次のお宝は何
にしようかしら?
完




