7.愛の巣
少し大人な描写があります…
感想ありがとうございました!
作家さんの感想は多分初めてで、嬉しかったです
以前の批判的な感想で、受付停止していた筈が、設定ミスで受付になってました…
でもとても嬉しかったです!
この場を借りてお礼いたします
現在、感想の受付は止めています
馬に乗って向かったのは森だ。王都から北に行った所にある森。入り口までは王都から馬で30分。私を載せて2人で進む。
「ファルは馬に乗れるのだな」
「はい、神官は他の神殿に赴くこともありますから」
後から私を抱えて進む。腰に回された手に、なんだか頬が染まる。
森に入ってしばらくは馬に乗り、途中で降りて歩いた。
そこから更に30分ほど歩くと家が見えて来た。
ん、家…?こんな森の中に。
「家…なのか?」
「まさか野営をするとでも?大切なセレスを床で寝かせるなんてあり得ない」
ファルは馬を馬房に入れると、家の鍵を開けた。
中を除いて
「うわぁ…」
私は弾んだ声をあげる。本当に家だ。
「いつ用意を?」
「お休みをいただいた時ですよ」
休みって
「3日だけだぞ?」
「はい。3日で家を買って家具を置きましたが?」
はっ?早過ぎるだろ!
「この家の購入や家具の配達は元第三聖女様のご実家である侯爵家にご尽力いただいたんだ」
いつの間にだ?
その後、ファルから元第三聖女様の家族を頼ることになった経緯を聞く。
それは私を害しようとしたあの事件の後に
「大聖女様には大変な事を…妹が本当に申し訳ない。大聖女様のことで、何か困ったことやしてほしいことがあれば遠慮なく言ってくれ。これは社交辞令ではなく、本心だ」
そう言ってファルに侯爵家の紋章が入ったボタンと封筒を下さったそうだ。なので代替わりが交付され、大聖女様の還俗が近くなったことを知ったファルは連絡を取った。
元第三聖女様の兄上はすでに侯爵家当主となっている。
―大聖女様が還俗に当たり、2人で暮らせる自然豊かな家を探しています―
それだけですぐに察してくださったようだ。そしてファルが私のそばを離れるつもりがない事も。今や熱心な信者として神殿を支えてくださるかの方はすぐに動きた。
―候補を絞った。貴殿の目で確かめてほしい―
すぐに手紙を返し、慌ただしく休暇を取って見て回ったのだ。そこで森の中の一軒家に決めた。
それがこの家だと。
「その、お金はどうしたのだ?」
ファルはにっこり笑うと
「秘密です。でもセレスのお金は使っていない」
辞める時に貰ったあのお金は、神殿を去る日に渡されたからな。
神官は辞める時に奉仕した年数に応じて給金が支払われる。それで買ったのか?と聞くと
「リネンやら布団やら毛布やらと残りの2日は買い物をして、それも侯爵家御用達の店で」
大聖女様の為ならととてもお安くしてもらえた、と笑う。ぬっ、にごされた。
そんなこんなでお屋敷というにはこじんまりした家が手に入ったのだ。私は嬉しかった。私たちのためだけに用意されたその家は、シンプルだけど優しい色合いで溢れていたから。
2階建てのその家は玄関を入ると広い居間がある。隣は食堂で、その奥が厨房。
左手に客間が3つ。
トイレとお風呂もある。お風呂は裕福な家にしか無いのに、当たり前に付いていた。
2階は私たちの部屋がある。それぞれの部屋は隣り合っていて、廊下に出なくても行き来が出来る。
2階には他に図書室と執務室がある。執務室は主に勉強をしたり、手紙を書いたりする時にしか使わない。
図書室はこれも侯爵家が適当に埋めてくれたらしい。
私たちはどちらも読書が好きなので、ありがたく貰うことにした。
私がは嬉しそうに笑うとファルは蕩そうな顔で私を見て
「ご褒美は?」
期待に満ちた目でみる。私は羞恥心を押し殺して背伸びしてファルにキスをした。
私は身も心もファルに満たされて、分不相応にも望んでしまった。この生活が少しでも長く続きますように、と。
それが叶わないことを知っていたのに。
この生活が長く続いて欲しいと願うのは、私だけでは無かったのに。
引っ越してから1週間後、私たちはテラスで隣り合って座っていた。空には星が瞬く。
静かな夜だ。
ファルは2人で掛けていた膝掛けを外して私の前に跪く。
「私と結婚してください」
私の手を取って真摯にそう伝えた。その目は真剣でしかも目を逸らすことを許さなかった。
私は
「し、しかし…」
「頷いてくださるまで、私はこの姿勢のまま待ちます」
それでは頷かざるをえない。もちろんとても嬉しい。
「それは狡い」
「返事は?」
私は一瞬考えたことを頭の隅に追いやると
「あぁ、結婚しよう」
頷いた。
ファルは私の体を抱き上げて顔中にキスをした。いつもなら抵抗するが、その日は静かに受け入れてた。間違いなく、今日は生きてきた中で最良の日であると思うから。でも、昨日も最良の日だった。
きっとこれからの毎日はずっと最良の日だろう。
そのままファルの部屋に入ってベッドに向かう。私を優しく降ろしてまた唇を重ねた。
そして、2人の熱い夜は更けていった。
…体が重い。
ファルは体力があるようで…夜は長かった。最後は意識が朦朧としていたような。
でもそれは生きているからこそ。残り少ない時間を、少しでもファルと過ごしたいから。それはファルも同じだと知っているから、怒れない。
私と違ってファルは健康で、見目の良い神官だ。神殿を辞したとは言え、神官であることは変わりない。望めば伴侶だって得られる。
きっと子供だってその手に抱けるだろうに。
私のように僅かしか生きられない男の元聖女の為に、その人生を捧げようとしている。
私のことなど忘れて幸せになって欲しい。そういう気持ちはあるが、ファルがそれを私に望まない。私がそう思うことも嫌がるだろう。
なら、せめて彼の思うままに…一生私を想って過ごしてもらおう。彼の願いは私の願いだ。例え不本意でも。
もともと穏やかで過保護なファルだが、拍車がかかった。
少しでも躓くと即座に抱き上げられる。
「躓いただけだ」
と言っても
「転んだらケガをする」
颯爽と抱き上げてソファに座らされ、全身ケガがないか確認される。その度に私は顔から火が出そうになるのに、真面目に確認を終えると優しく笑いながらおでこにキスをする。
「自分の体は大事にして。私の為に」
ぐっ、ファルは狡い。ファルのためと言われたら逆らえない。コクンと頷けば抱きしめられる。
一時が万事こんな感じだ。
涼しげな目元と相まってクールな印象があるのだが、私に微笑みかける顔は完全に蕩けている。夜は蕩ける中にギラギラした目と妖艶さもあって、翻弄されてばかりだ。
「私のセレス、私だけのセレス…きれいだよ。潤んだ目も、細い肩も、薄い腹も、長くてきれいな足も…ぜんぶ、もちろん、ここも…」
恥ずかしくて真っ赤になっていると
「ちゅっ、あぁだから…そんな可愛い顔して」
これがベッドの中でエンドレスだ。
私からしたら筋肉のついた肩とか割れた腹とか細いのに引き締まった腰とか凄くカッコいいと思う。だから反論する。
「逞しい肩や割れた腹がカッコいい。私のは貧弱と言うんだ」
「ちゅっ、またそんなことを。華奢なんだよ。ほら、こんなに可愛い…」
「あっ…」
腰を撫でながら言うファルは反則だ。変な声が出てしまう。そうすると可愛い…と感極まって。
嬉しいけど恥ずかしい。そんな毎日を過ごしている。
あとどれだけ、この穏やかな日が続けられるだろうか。
そう思いながらも、私たちは寄り添いながら仲良く過ごした。
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