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人は剣に還る  作者: たくわん。


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第125話 疾走


349階層へ降りた瞬間——私たちは、凍りついた。


そこは——広大な空間だった。


だが——問題はそこではなかった。


モンスターが——いた。


無数のモンスター。


ゴブリン、スケルトン、影の獣、そして——名前もわからない奇怪な生物たち。


それらが——空間を埋め尽くしていた。


「……嘘だろ」


ゼノが呻いた。


「何匹いるんだ……」


ケインが顔を青ざめさせた。


私は——数えようとした。


だが——すぐに諦めた。


多すぎる。


五十匹?


百匹?


それとも——もっと?


「……戻るぞ」


リオンが小声で言った。


「静かに——階段を上がる」


私たちは——ゆっくりと後退し始めた。


だが——その時。


一体のゴブリンが——こちらを見た。


赤い目が——私たちを捉える。


そして——叫んだ。


ギャアアアア!


その声が——空間全体に響いた。


モンスターたちが——一斉にこちらを向いた。


無数の目。


無数の牙。


無数の爪。


全てが——私たちに向けられた。


「……走れ!」


リオンが叫んだ。


私たちは——走り出した。


全力で。


階段を上がる。


背後から——怒号が聞こえる。


モンスターたちが——追ってくる。


足音。


無数の足音。


地面が揺れる。


「くそ!追いつかれる!」


ゼノが叫んだ。


「348階層に戻るぞ!」


リオンが先頭を走る。


私たちは——必死に階段を上がった。


だが——348階層に戻っても、逃げ場はない。


「どうする!?」


ケインが叫んだ。


「……先だ!先に進むしかない!」


リオンが答えた。


「また349階層に降りるのか!?」


「違う!別の階段を探す!」


リオンが叫んだ。


私たちは——348階層を駆け抜けた。


焼け焦げた蜘蛛の巣を踏みつけ、ひたすら走る。


背後から——モンスターたちが追ってくる。


息が切れる。


足が重い。


でも——止まれない。


「あった!階段だ!」


エレナが叫んだ。


確かに——別の階段があった。


私たちは——階段へ飛び込んだ。


そして——降りた。


一段飛ばしで。


転びそうになりながら。


ただ——ひたすら降りる。


350階層に——辿り着いた。


だが——モンスターは止まらない。


まだ——追ってくる。


「次!次の階段!」


リオンが叫んだ。


私たちは——350階層を駆け抜けた。


そこがどんな場所かも——確認する余裕がない。


ただ——走る。


階段を見つける。


降りる。


351階層。


また——走る。


背後から——モンスターの咆哮が聞こえる。


まだ——追っている。


「しつこい!」


ゼノが叫んだ。


私たちは——走り続けた。


352階層。


353階層。


354階層。


階層を——次々と通過していく。


息が——切れる。


足が——重い。


全身が——悲鳴を上げている。


心臓が——激しく打っている。


汗が——目に入る。


視界が——滲む。


でも——止まれない。


止まれば——殺される。


「もう少しだ!耐えろ!」


リオンが叫んだ。


私は——歯を食いしばった。


足が——もつれそうになる。


でも——走る。


ただ——走る。


355階層に——辿り着いた。


そこは——巨大な空間だった。


そして——空間の奥に、巨大な扉があった。


黒い鉄の扉。


表面には——複雑な文様が刻まれている。


「……あれだ!あの扉に逃げ込むぞ!」


リオンが叫んだ。


私たちは——扉へ向かって走った。


背後から——モンスターたちが迫ってくる。


距離が——縮まっている。


「間に合え!」


リオンが扉を押した。


だが——開かない。


「くそ!鍵がかかってる!」


「どうする!?」


ゼノが叫んだ。


私は——扉を見た。


文様。


古代の文字。


そして——下部に、小さな窪みがある。


346階層で見たのと——同じ形だ。


「何かを嵌めるんだ!」


私は叫んだ。


「でも——何を!?」


エレナが叫んだ。


私は——周囲を見回した。


モンスターが——迫ってくる。


あと——数秒しかない。


そして——私は、自分の荷物を開けた。


346階層で手に入れた——円盤。


あれを——まだ持っている。


「これだ!」


私は円盤を取り出した。


そして——窪みに嵌めた。


カチャ!


扉が——開き始めた。


「入れ!」


リオンが叫んだ。


私たちは——扉の中へ飛び込んだ。


リオンが最後に入り、扉を閉める。


ドォン!


扉が——閉まった。


その直後——扉の向こうから、激しい音が聞こえた。


ドンドンドン!


モンスターたちが——扉を叩いている。


だが——扉は開かなかった。


頑丈な扉が——私たちを守っている。


「……助かった、のか?」


ケインが息を切らしながら言った。


「……ああ、なんとか」


リオンが答えた。


私たちは——床に座り込んだ。


全身が——汗で濡れている。


息が——荒い。


心臓が——激しく打っている。


脚が——震えている。


「……何だったんだ、あれは」


ゼノが呟いた。


「わからない……でも、あんなに大量のモンスターがいるなんて」


エレナが答えた。


私は——深呼吸した。


疲労が——全身を襲う。


肺が——焼けるように痛い。


「……よく、逃げ切れたな」


ケインが呟いた。


「ああ……本当に」


ルナが答えた。


私は——周囲を見回した。


ここは——通路だった。


長い、真っ直ぐな通路。


壁には——また、あの文様が刻まれている。


古代の文字。


そして——通路の先には、光が見えた。


「……先に、何かあるな」


リオンが立ち上がった。


「……もう少し休んでから行きましょう」


エレナが言った。


「……そうだな」


リオンが頷いた。


私たちは——しばらく、その場で休んだ。


誰も——口を開かなかった。


ただ——呼吸を整え、疲労を癒す。


扉の向こうでは——まだモンスターたちが暴れている音が聞こえる。


だが——次第に、その音も遠ざかっていった。


諦めたのだろう。


そして——十分ほど経った後。


リオンが——立ち上がった。


「……行くぞ」


彼が言った。


私たちも——立ち上がった。


身体は——まだ重い。


でも——動ける。


私たちは——通路を進み始めた。


足音が響く。


カツン、カツン、という音。


疲労で——足取りが重い。


私は——ただ前を向いて歩いた。


考える余裕もない。


ただ——歩く。


私たちは——光へ向かって歩いた。


そして——通路を抜けた。


その先には——。


私は——息を呑んだ。


そこは——巨大な部屋だった。


円形の部屋。


天井は高く、壁一面に——文字が刻まれている。


古代の文字。


無数の文字が、壁を埋め尽くしている。


そして——部屋の中央には、石碑が立っていた。


高さは三メートルほど。


表面には——また、文字が刻まれている。


「……何だ、ここは」


ゼノが呟いた。


「……わからない。でも——何か、重要な場所みたいね」


ルナが答えた。


私は——石碑に近づいた。


文字を——よく見る。


それは——やはり読めなかった。


でも——どこかで見たような気がする。


私は——石碑に手を触れた。


その瞬間——。


光が——溢れ出した。


青白い光が、石碑から放たれる。


「セリア!」


リオンが叫んだ。


だが——私は動けなかった。


光が——私を包み込む。


そして——。


映像が——流れ込んできた。


断片的な映像。


暗闇。


階段。


一人で歩く——誰か。


五本の剣。


塔。


光。


映像は——瞬く間に流れ去った。


意味がわからない。


何を見たのか——理解できない。


光が——消えた。


私は——床に膝をついた。


「セリア!大丈夫か!?」


リオンが駆け寄ってきた。


「……ああ、大丈夫だ」


私は答えた。


頭が——少しぼんやりする。


「……何が見えたんだ?」


リオンが尋ねた。


「……よくわからない。何か、映像のようなものが見えた」


私は答えた。


「映像?」


「ああ。でも——意味がわからなかった」


私は立ち上がった。


リオンは——少し考え込んだ。


「……この石碑、何か特別なものなのかもしれないな」


「……そうかもしれない」


私は頷いた。


そして——再び石碑を見た。


文字が——そこに刻まれている。


読めない文字。


でも——いつか、読める日が来るかもしれない。


「……先に進もう」


リオンが言った。


「この部屋に——他に何もないか確認してからだ」


私たちは——部屋を探索し始めた。


壁の文字。


床の石板。


天井。


全てを——確認する。


だが——石碑以外、何も見つからなかった。


「……ないな」


ゼノが呟いた。


「ええ。石碑だけね」


エレナが答えた。


「……じゃあ、行くか」


リオンが言った。


私たちは——部屋の奥にある通路へと向かった。


石碑を——背に。


そして——また歩き始めた。


次の階層へ。


未知の場所へ。


私たちの旅は——まだ続いていた。

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