表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人は剣に還る

作者:たくわん。
私の剣は、喋らない。

この世界では、それは異常だ。冒険者たちの剣は皆、前の持ち主の記憶を宿し、戦い方を教えてくれる。剣の声に導かれ、彼らは深層を目指す。

でも私の剣――「空虚の剣」には、何も宿っていない。

名前はセリア・アッシュフォード、17歳。2年間の記憶がない。

目覚めたとき、ギルドカードには信じられない記録が刻まれていた。500階層到達――人類史上最高記録は450階層。誰も信じない。

「詐欺師」

街で囁かれ、冒険者たちは冷笑する。

でも、試しに1階層へ潜ったとき、身体が勝手に動いた。記憶はないのに、身体はすべて知っている。ゴブリンを一瞬で倒し、迷路を迷わず進む。

……私は、本当に500階層へ行ったのか?

20階層に到達した瞬間、記憶の断片が蘇った。

仲間がいた。4人の仲間。一緒に300階層まで到達し、そして別れた。

「セリアだけが行くべきだ」

空虚の剣だから。剣に支配されないから。

一人で500階層へ――。

でも、何があったのか。まだ思い出せない。

夢に現れる光景。深層の通路。10万本の剣。そして、囁き声。

「あと7人」

記憶を取り戻すため、私は再びダンジョンへ潜る。1階層ずつ、進むたびに記憶が戻っていく。

仲間は今、どこにいるのか。500階層で私は何を見たのか。

剣が喋らない世界で、ただ一人。空虚の剣を手に、私は真実へと向かう。

――人は剣に還る。その意味を、まだ私は知らない。

-----
毎日21:30更新予定
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ