表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タロットとライオン  作者: 凪子
【THE DEVIL.】
15/25

15

夕飯のロールキャベツとコンソメスープを食べた後、部屋に戻ってタロットカードを広げてみる。


母と父は、小日向の来訪した理由を聞きたそうにしていたが、そこは無難な受け答えでごまかした。


(伯父さんの病気のこと、勝手に伝えるのも悪いしなぁ……)


特に母にとって風間敏男は、血の繋がった兄である。


我が母ながらいつまでも少女っぽいところのある彼女に、こんな重い知らせをもたらすのは気が進まない。


その上、雪乃のお見合いを手伝おうとしているなんて、説明する気にもなれなかった。


テーブルの上にカードを円形に広げ、占うことを何となく思い浮かべながら、反時計回りに混ぜていく。


静かにこの作業をしているだけで、なぜか気持ちが落ちついた。


朱理にとって、カードは友達の一人だった。


何でも話しかけられて、決して秘密を外に漏らさないでくれる、大切な友達。


そして、困ったときや悩んでいるときに寄り添ってくれる、心強いお守りでもあった。


反時計回りの後は、時計回りにカードを混ぜ、十分に混ざったら三つの山を作る。


その山をランダムな順番で重ね合せ、何度かカードを切り、上から六枚をめくる。


七枚目が、引くべきカードだった。


出たのは、【THE DEVIL.】のカードだった。


恐ろしい半裸の悪魔が、口をへの字にしてこちらを睨みつけている。


ヤギの角、コウモリの羽根、猿の顔、人間の上半身と、ワシの下半身。


全てがごちゃまぜになった、醜くおぞましい姿だ。


その下には鎖に繋がれた裸の男女の姿がある。


「きもっ」


思わず朱理はカードを振り払った。


普段なら悪魔が出たところで見慣れているし、そこまで動揺することはないのだが、なぜだか今日はとても嫌な感じがした。


(私、何を占おうとしたんやっけ……そうや)


さっき思い出した言葉が気になったのだ。


――千石貴文に近づくな。


ライオンキングが去り際、言い残していった言葉。


(悪魔と何の関係があるの……?)


気持ちを立て直し、じっとカードを見つめ直す。


だが、心に浮かぶことがない。


朱理は、どうしても意味を読み取ることができなかった。























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ