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街道

 競争をしながら森を抜けた俺達は、予定より随分と早く街道に出た。


「サードこの先であってる?」


「ああ、そこを進めば王都方面だよ」


 ラトが俺に道を聞き進む。何故俺に道を聞くのかと言うと、今いる中で一番新しい街道の地図を持っていたからだ。フレイと最初に会った時に破れたと思っていた地図が、奇跡的に無事だったのが決めてだった。



「王都か、ワクワクするな!!」


「ええ、柄にもなく興奮します!」


 ディベルはいつもの調子だが、珍しくラントがテンション高く喋る。


「ほお~これが最近の街道か。我の知っている物とだいぶ変わっているな」


 フレイはキョロキョロと見渡しては、感心している。因みに、何故皆が人化の術を仲間以外に見せるのに抵抗が無いかと言うと、この術が案外応用できたからである。元々の人化の状態から大幅に変えることが出来るわけではないが、髪や顔を少し変えたりすることは出来たらしく、それを使って本来とは違う容姿になっているため掟に抵触していないのだ。


 暫く皆と談笑しながら歩いていると、段々と馬車とすれ違う回数が増えてきた。


「皆、そろそろ見えてくるぞ!」


 俺の声で一斉に前を見る。すると、まだまだ遠いがそれでも威圧感ある王都を囲む壁が見えた。無骨だがそれでも歴史に裏付けされた迫力、近くで見たらどんなに凄いだろうかとワクワクした。


「凄い、あれが王都の城壁…!」


「王都って強そうな所だな!!」


「ディベル、王都は闘技場ではないですよ?」


「我ならワンパンだな!」


 思い思いの感想を述べる皆に苦笑した。その時、後ろから一台馬車が走ってきているのが見えた。特に変わったところもなく、気にするな事はない様に思ったのだが、何故か違和感を感じた。


 違和感の正体を掴めないまま走っていく馬車を見送った次の瞬間、俺の身体は動いていた。俺の横を通る一瞬見えたのだ、怯え泣く少女が。


 馬車を乱暴に止め、中の少女を助けに向かう。幸いなことに少女に怪我は無く、同乗していた男が衝撃のクッションになったようで気絶していた。御者も同じような感じで気絶している。

 少女は、突然の事に「何が起こったのか分からない」と言う表情で、馬車に入ってきた俺を見ていた。


「ごめん、君が怯えてたから……」


 少女は俺の言葉を聞いて、目をぱちくりさせながら状況を飲み込み始めた。


「え、ええ、貴女の言う通りですわ」







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