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1 伯爵令嬢の心が壊れました

「生意気なのよ!」


そう言ってジュースをドレスに掛けられました



白とピンク色のドレスにブドウジュースの紫が染みています





「ほほほっ、ちょっとは見られるようになったのではなくて?」


そう言って高笑いをする子爵令嬢とその取り巻き達






私が伯爵令嬢だというのにこの始末です


おまけに周りにいる人間は誰も助けようとはしませんでした


私と同じ伯爵位の子息令嬢だけでなく、格上の侯爵家の令嬢も居たのに、です




私はいつも通り唇をかんで手を握って耐えることしかありませんでした


なにせ私の評判は地に落ちているのです


何を言っても無駄でしょう


どうせ悪役なのです






・・・悪役?




・・・何をやっても無駄?



・・・だってら何をやっても同じってこと?





<パリン>


私の心は壊れました


・・・本当に心が壊れる時って音がするんですね(嗤)





「知りませんでしたわ、王家の夜会では相手のドレスにジュースを掛けるのが礼儀だったとは」


そう言うとともにウエイターが持っているトレーの上のジュースが入っているグラスを持ち上げました


そして子爵令嬢のドレスに盛大にぶっかけて差しあげました




「きゃあっ!」


「なんて酷い事を!」


口々に令嬢達が文句を言ってきました




ですが無視して差しあげました


騒ぎが酷くなればなるほど隠せなくなりますからね




「一体何事だ!」


第三王子様が取り巻きを引き連れて現れました





すると子爵令嬢とその取り巻き達は


「あの人がいきなりジュースをかけてきたのです!」


と被害者ぶっていました





もちろん私は何もいいません


だって何を言っても無駄ですもの


ですから明後日の方向を見ていましたわ





「何か言う事はないのか」


第三王子が伯爵令嬢わたくしに聞いてきました




「最初から人を悪人に仕立てることが決まっているというのに何を言えと?」


嫌味ったらしく言って差し上げました





第三王子の顔は引きつっていましたね





だって


「おまえなんてクズだ(意訳)」


って言われたも同然なのですから




「そんなことはしない!」


切れそうになりながら第三王子が言いました





「ではこうしましょう


伯爵令嬢わたくしは何も言いません


第三王子ごじぶんでお調べください


真実が明らかになったのならば伯爵令嬢わたくしが膝を折って謝罪しましょう


ですが真実が明らかになっていないと感じたなら伯爵令嬢わたくしは今後あなた様を心の底から軽蔑いたしますわ」




もちろんこんなことを言われたら王族としては受けない訳はいきません


王族の威信にかけて調べられないなんてことはあってはなりませんからね





聞いていた子爵令嬢達の顔は真っ青でしたわ


だって女同士のじゃれ合いがいつの間にか王族の威信をかけた調査になっていたのです





場には無関係な伯爵令嬢や侯爵令嬢だっていました


子爵令嬢じぶん達のやり取りを聞かれていて正直に証言されたら困るというものです






ただでさえ子爵令嬢が伯爵令嬢に向かって無礼な言動をしてきたのです


もう碌でもない未来しか見えなかったことでしょう





もちろん第三王子としても


「よし分かった!、その膝を絶対に折らせてやる!」


しか返事のしようがありません




さあどうなることでしょう(笑)

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