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【3話】激闘

「痛い痛い痛い痛い痛い!体がっ、燃える!!!」


 俺は死を覚悟していた。が、その時だった。

 グレンとレーザーを隔てる盾が出現した。



 〜同刻、研究所前〜


「ギリギリ、と言ったところかな。全く…新芽を摘むんじゃないよ。立場上、私にできるのはあとこれくらいだが受け取ってほしい。幻想(げんそう)領域(りょういき)天女(てんにょ)羽衣(はごろも)


 〜



「か、体が回復していく…温度は上がり続けてんのに全くしんどくない!」

「突破不可能。攻撃を中止シマス」


 どこの誰だか知らないが本当にありがとう!


 ロボが攻撃を止めると、同時に盾も消失した。



 〜同刻、研究所内監視室〜


「おい!どういうことだ!?この魔力はあいつのものだ!まさか、このガキ一匹を助けたってのか?」

「ありえない!こんなのルール違反だ!」

「でも大丈夫だ!我々の最高傑作は絶対に壊されん!」

「こっちが出力制限つけりゃつけ上がりやがって!」

「リミッターを解除しろ!」

「で、でも、それでは本当に彼らの命が!」

「ええい!黙れ!」


 〜



 ピーッ、ピピ


「リミッターヲ、解除シマス。形状変形 零」


 周りの空気が一気に重くなる。


「足が震えてやがる…でも、なんだか今ならやれる気がする!」



 〜〜


「さあ少年!明日に向かって羽ばたいてゆけ!」


「捻り潰せ!AGI-B3!!!」


 〜



 俺はさらに、50℃から100℃に上昇温度を上げた。


 ここから先は未知の領域だ。高校の時は90℃だったのに、今は3000℃を超えている。しかも、10秒で1000℃上がる。

 一体俺はどこまでやれるのか、とことん楽しんでやる!


「おい!壊れてくれるなよ?」

「破壊スル」


 あ、そういえば固有魔法頼りで術式使ってなかったな。ちょっと試しに…


火球(ファイア)


 火球は誰でも使える基礎中の基礎術式で、一般人でも少しなら応用ができる、対して威力のない技のはずなのだ。


 ドッカアアアアアアアアアン!!!!


「は?」


 とてつもない爆発音と共に、天高く火柱が(のぼ)っている。


 火球(ファイア)の温度はせいぜい400℃で、そこまで大きくならないはずだ。なぜだ?誰かのおかげでバフは入っているが、ここまで大きな変化が現れるものなのか?

 もう一発…


火球(ファイア)


 ドッカアアアアアアアアアアン!!!!


 さっきよりも火力が上がった!?一体どういうことだ?バフは使用者が重ねがけしない限りは倍率が変わらないはずだ…そうか!今まで俺の温度が低くて気づかなかっただけで、そもそも俺の固有魔法の認識が違っていたんだ!

 俺の予想が正しければ…


火球(ファイア)


 ドッカアアアアアアアアアアン!!!!


 やはり時間が経つごとに火力が上がっている。俺の固有魔法は、時間経過と共に火力も上がるんだ!他の魔法は…


氷球(アイス)


 パリンッ


 出現した氷は儚く散った。


 なるほどな…強化されるのは火属性魔法だけか?それとも対の水要素を含んでいたからか?


 考え事に集中しすぎたグレンは、ロボを完全に見失っていた。


「まずい!どこに行った!?」


 グレンの足元が崩れ、ロボが出てくる。


 出てきた瞬間、ロボはグレンを殴り飛ばした。


「ッ!!!さっきと火力が全然違う!まさか俺の攻撃が効いてないのか!?」

「有効ト判断。火力ヲアゲル」


 そう言うと、ロボはぶっ飛んだ俺に容赦なく小型ミサイルを打ってきた。


 ドォン!ドォン!ドォン!…


「おいおい!小型の威力じゃねぇぞ!」


 まずい!一回立て直すか。


 グレンは術式を2重、3重にして一直線に魔法を放つ。


「さっきのレーザーのお返しだ。耐えてみろ!!!超炎力砲(フレイムレイト)!!」


 ロボは、超炎力砲(フレイムレイト)を避けながらグレンに接近する。


「まあ、相殺するか避けるよなぁ!」


 俺はあらかじめ近くに設置していた拘束術式を起動させる。


「派手技に気を取られ過ぎたな!」


 ロボは拘束され、その場で動けなくなった。


「行っけええええええええええええ!!!!」


 レーザーはロボに激突した。今までなんともなかったロボが、妙な機械音を発し始める。


「このまま…押す!」


 グレンは更に魔力を込める。しかし、


「耐熱術式ノ獲得ニ成功。内部冷却ヲ開始スル」

「は!?これ耐えんのかよ!」


 ロボは拘束魔法を解除し、グレンに高速で接近して殴り飛ばした。


「ガハッ!!こいつ…まだこんな余力が!こいつも俺との戦いで学んでやがる!」


 俺は遠距離攻撃をやめ、検証のために雷魔法を込めてロボを殴る。

 しかし、ロボはケロっとした顔で俺を煽る。


「ソンナモノカ?人間ヨ。学べ。モウ効カン」


 そう言うと、グレンを掴み壁に投げつけた。


「ッ!!!まずい!早く立ち上がらないと…次が来る!」


 顔を上げた瞬間ミサイルが俺に当たる。


「その程度で!俺がくたばるとでも?…ああ、そういうことか…」


 攻撃用のミサイルの他に拘束用のミサイルも使えるのか。


「チャージヲ開始スル。ダカラ、学ベト言ッタンダ。哀レナ人間ヨ」

「ああ、そうだな」


 俺は武器ボックスを魔法で手元に寄せ、その中から盾を取り出す。


「一本取られた。付け焼き刃だが…もってくれ!」


 そして、レーザーが盾に激突する。

 盾は、初めこそ原型を保っていたが、レーザーと俺の放つ熱に耐えられなくなり徐々に溶け始めていた。


「早く拘束を解かないと!クッソ…」


 そして、間一髪で拘束を解き、俺は横に回避する。


「あっぶね。ッ!!」


 まずい!防御バフを貫通してクラクラしてきた。長い目で見てここらへんでとどめるか。

 今の俺の温度は約40000℃。十分に戦えていることを考慮しても良手だろう。


 そして、わかったことがある。オーバーヒートの威力上昇は、炎魔法にしか機能しない。

 あとは、もうあいつに打属性攻撃は通用しない。あいつの言っていた「属性耐性」は魔法属性じゃなくて、物理属性のことだ。

 困ったな…魔法圧縮にも限度がある。

 あ!いいこと思いついた。


 グレンは武器ボックスを開き、一本づつロボに投げつける。武器は、音の壁を破りロボに激突してゆく。


 キィン!キィン!キィン!キィン!…


 甲高い金属音が、部屋中に響きわたっている。

 そして、武器がロボの右手を(とら)える。


「俺の勝ちに一歩近づいたな!」

「ハハ!腕一本程度デ勝ッタツモリカ!」

「どうした?腕一本壊されたのがそんなに悔しいのか?笑」

「ガキガ!」


 俺は、全ての武器を投げ終わるとロボに高速で近づく。ロボは、面食(めんく)らった顔をしていた。


「あんまり動いてなかったから俺の速さに気づかなかっただろ?もしかして…見えなかった?」

「…対応圏内ダ」


 ロボが言葉を終えた瞬間、グレンとロボは拳を合わせる。


 ドォン!!!!!


 轟音を立て、グレンとロボは殴り合う。



 〜研究所内監視室〜


「なっ、なんだこの速さは!!!スーパースローでもとらえきれない!!」

「こんなの想定外だ!あのガキもそうだが、AGI-B3も性能を完全に超えている!」

「一体どういうことだ!?ロボットの出せる性能じゃない!」

「まるで、戦いの上で成長しているようですね♪」

「!!!!!!!!!!!」

「きっ、貴様ぁ!どこから入った!いくらお主と言えど警備員を呼ぶぞ!住居不法侵入で逮捕だ!」

「私に法律は通用しません。それはあなた方も分かるでしょう。あと、不法侵入ではありませんよ。これ、許可証です」

「ぐぬぬぬぬぬぬ…」

「まあ、我々にできることは見守るくらいですよ。決着はもうつくでしょうし、ゆっくり見守りましょう。きっと彼は、大きくなりますよ♪」


 〜


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