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シングルママ愛子 vol.87. 鼻声になりながら…。
その時、川岸の携帯に着電、取引先からだった。
愛子に目配せして、電話に応対する。
その電話で気付く愛子、「あ、琴…。」
時計を見ると、丁度今、学校では給食の時間。
今帰れば、何とか琴美の学校からの帰宅に間に合う時間。
電話の終わった川岸に、
「川ちゃん、私、一度家に戻る。琴が帰ってきて、私がいないと困るから…。」
基子の顔を見ながら、川岸が…、
「…もう…こんな時間か、分かりました、そうして下さい。俺もこれから社の方に連絡いれないと…。」
「じゃ、ごめん、後で…。」
愛子が病室の外へ。そして川岸が会社に電話を入れる。
立花の机の電話が鳴り、受話器を取り、
川岸から外線だと分かると外線ボタンを押し、
「川岸…。…お疲れ…。」
「お疲れ様です。…部長…。御迷惑…お掛けしました…。」
「いや…。…そんな事より…お前…。」
「申し訳ありません…部長…。」
その時、基子の事を話そうとした途端に、また鼻がツーンと…。
鼻声になり、そのまま…。
「…妻が…、先ほど…亡くなりました。」