表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シングルママ愛子  作者: THMISmama
82/176

シングルママ愛子  vol.82.  「おはようって、挨拶…」

「言葉もないよ。」

基子の頬を撫で、鼻を撫で、血色のない唇を指先で撫で、

基子の髪を撫で、ピクリとも動かない体を布団の上から抱き締め…。

そして右手で布団を握り締め…、

それでも一言も口に出せない川岸に、医師はそう呟く。


「力になれなかった…。」

悲壮な顔をして目を虚ろに、髪を乱しながらの医師は続ける。

「悔しいが…間に合わなかった…。」


看護師もその医師の言葉を聞きながら、立ち尽くすしかなかった。

「状況は電話でも伝えた通り…。私もここに来た時には…もう既に…。信じられなかった。まさか…こんな…。ドナーを探している矢先だった…。」


看護師も悲しく、そして暗い表情のままで…。

「看護師が巡視で回ってきたときには…おはようと、いつも通りに明るく挨拶したと言う。それが…一時間後には…。」

「基子さん、にっこりとした顔だった。私もいつもと同じ、おはようって、挨拶して部屋を出たの…、なのに…。基子さん…。」


「申し訳ない。力…及ばずだった。」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ