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シングルママ愛子  作者: THMISmama
80/176

シングルママ愛子  vol.80.  生気のない顔。

愛子の声で、ようやく我に返った川岸。

それでも目を真っ赤にさせ、涙は止まらない。


それでもグッと鼻を啜り、深呼吸して両手で顔を覆う。

顔を上向きにして、今度は下向きにして、

そして両手で顔を1回2回と叩き、そして腕組みをして背筋を伸ばす。


数分後、運転手の、

「着きましたよ。」


その声と共に、タクシーのドアを開け運転手に一万円札を渡し、

「ありがとう、取っといて。」


そのまま病院の玄関に駆け足で…。

「あっ、あの…お客さ~ん…。大丈夫かな…???」


タクシーが走りだすのを背に川岸は病院の中、基子の病室に向かった。


そんな川岸の表情を、廊下の看護師が見て、

そして見送り…、基子の病室のドアを開ける。


医師ががっくりと両肩を落とし川岸の顔を見る。そして、

「川岸さん。」


そして看護師も重い表情で川岸の方へ顔を向ける…。

ドアを開けて真っ直ぐに基子の顔を見て、

その生気のない顔を見て、一気に全身の力が抜け、

立っているのがやっとの状態で、ふらつきながら…。


「モコ…。」




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