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シングルママ愛子 vol.79. 声にならない川岸。
「川ちゃ~んお疲れ。どうしたの、お昼~???」
無意識に愛子に電話を掛けていた。
そして電話を掛けながらもその携帯は、
左手で持ちながらも左膝の上で動かなかった。
上の空だった。
そして電話に出た愛子の声に気付かなかった。
川岸からの返答がないまま愛子は川岸の名前を、
携帯を耳に呼んでいた。
「川ちゃ~ん、川ちゃ~ん…どうしたの…???川ちゃん。」
次第に高くなる愛子の声の調子にようやく気付いた川岸…。
涙を零しながら、涙声で…、
「あ…愛…愛…さん…。俺…、どうしよ…。モコが…。」
その声を聞いた途端に、
「!!!!川ちゃん。」
一気に声を張り上げたように川岸の名前を口にする愛子。
「モコが、モコが…どうしたの…???」
何をどう話したら良いのか困惑する川岸の声に…、
「今、川ちゃん何処なの???何処???」
声にならない川岸に、
「分かった、これから私、病院に行く。」
その言葉を言い残し、愛子の声は途切れ、電話が切れ、
だらりと携帯を膝に置く川岸。
「モコ…、愛…さん。」




