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シングルママ愛子 vol.77. 充血した目から…。
既に川岸の携帯にも病院からは電話が入っていた。
最初の電話は不在で、すぐさま勤務先に一報を入れたのだった。
取引先に事情を伝え、そのまま通りでタクシーを拾い病院へ。
タクシーの中で病院側から事情を聞きながら…、
言葉にならなかった。
そして、鼓動は高鳴っていた。
手は震え、脚も震え、体中が小刻みに震えていた。
何がどうなっているかが全く見当が付かなかった。
充血した目からは涙が零れ、何をどう見れば良いのか…、
タクシーの中で苛立っていた。
「モコ…。」
と小さく何度も呟き、両拳を握り締め、膝に置いたり、口元に構えたり、
その度に、鼻水で拳は濡れ、歯を食いしばり、
きつく目を閉じ、ドア越しに肘を突いてみたり、口を開いて息を吐いたり…。
そのうろたえ振りにミラーから様子を窺っていたタクシーの運転手も…、
「お客さん…大丈夫…ですか???」
そんな運転手の声掛けにも応える余裕がなかった。