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シングルママ愛子 vol.75. 川岸の胸に稲妻。
「すぐ家族に…。」
医師のその言葉の途中でドアに向かう看護師。
その頃愛子は部屋に飾る花を庭から摘み、
リビングのテーブルの上で花瓶に活けてる最中だった。
そんな時に、花瓶に活けたばかりの花ひとふさが、
ポロリとテーブルの上に落ちる。
「あら…変ねぇ、活けたばかりなのに…。」
そして立花の机の上の電話が鳴る。
「ああ、川岸なら今、席外してるが…。」
その2秒後。
「何――――ッ!!!!」
一気に立花は立ち上がる。
その声に、部署内の社員全員が立花の顔に集中する。
「分かった、すぐに連絡する。」
慌てる立花の姿勢に社員たちも動揺する。
顔面蒼白になった立花が川岸の電話の短縮ボタンを押し、
川岸が携帯に出た途端に、
「川岸―――ッ、病院へ行け―――ッ!」
唐突に携帯から立花のその声を聞き、
その瞬間、川岸の胸に稲妻が突き刺さった如くの衝撃が走った。
「部長…、モコ…。」
「いいから病院へ行け、急げ川岸。」