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シングルママ愛子 vol.73. 俺に残してくれた…遺産。
「琴ちゃん、やっぱり…それか…???」
「うん、琴これだ~いすき~!」
と、お昼のご飯を食べようと入ったレストランで、
琴美は大好きなパフェを食べながら…。
「言い出したら聞かないんだから…もう…。」
「はは…。でも、天気に恵まれましたね、今日は…。」
「ほんとよね~!栄二も喜んでるわ、川ちゃんが自分の後継者になって…。」
「俺なんて、まだまだ…、栄さんにはてんで及ばないけど…。でも、何だか…やれそうな気がしてきたんです。…と、言うより…やんなきゃって…。それが…栄さんの、俺に残してくれた…遺産なのかな…、って思えちゃって…。」
少し照れたように、そんな風に話す川岸の顔を愛子は、
穏やかに見つめるのだった。
川岸新課長が誕生して、新谷栄二が培っていたノウハウもそのまま継承され…、
いや…それ以上に川岸の若さと栄二とも少し異なる人となりが、
部署全体の雰囲気と併せ持って、厳しさなりにも、
中にフレンドリーなエッセンスを隠れ持ちながら、
スムーズに事が運んで行った。
愛子も琴美を玄関先から「気を付けてね。」
そして台所に向かおうと…。