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シングルママ愛子 vol.67. わたし…すっごく嬉しい。
「えっ、ほんと!すっご~い。おめでとうトシ~!…コホッ、コホッ。」
「おい、モコ…大丈夫か~???」
先だって、愛子と琴美が見舞に訪れ、
そして帰った後から基子の咳が目立っていた。
そして、少し倦怠感も生じていた。
「…ん…、大丈夫、これくらい…。」
「何だか…この前見た時より、顔色が…???」
「だ~いじょうぶよ~!トシったら~心配性なんだから~!それより…。」
そう言いながら、両腕を広げて川岸を招き入れる。
そんな基子を抱き締めて川岸は、
「まさかな…、俺が栄さんの跡を引き継ぐなんてな…。」
夫のぬくもりを感じながら、
「…今、わたし…すっごく嬉しい。」
そう言いながら、夫の背中に回した右手で、
夫の背中をパンパンと叩いて、
「トシならやれるよ。わたし…信じてるから…。」
「そうか~俺…大丈夫かな~???」
「大丈夫、大丈夫、わたしがついてるよ。」
「…だな…。…ん…???あっ、花…!」
基子の肩越しに花瓶に飾られている花を見て、
「綺麗だ~!」
「うん、愛姉ぇから…。」