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シングルママ愛子 vol.63. 鶴の一声。
そんな部署の面々を見ながら立花も、頬杖をつきながら、
「ほ~れみろ。」と言わんばかりにニヤニヤとしながらも、
机の上の書類を手に取り、鶴の一声のように、
「まっ、そういう事だ~頼むぞ~!みんなも~盛り上げてくれ~!」
その言葉に、部署の声も爽やかに、
「ハイ。」「お~い。」「へい。」「お~し。」「よっしゃ~!」
そして、川岸にもガッツだぜのゼスチャーで拳を出し、
「大丈夫だって、みんないるからよ。」
向いにいる女子社員からも、
「川岸君、おめでと。」
それに応えるように川岸…、
「はは…、参ったなこりゃ…。」
と、額を指で掻きながら…。
そして立花の次の声、
「新谷の穴は大きいぞ~ッ!」
「また部長~それ言う~!」
古川のその言葉で、部署内の雰囲気がまた和やかに…。
新谷の机の方を見ながら川岸は…、
「栄さん…、俺…。」
そして、今までの栄二との思い出が、川岸の頭の中に、
あれこれと思い浮かぶのだった。
「ねぇねぇ、佐伯君、じゃああ~川岸君の昇進祝いしなくっちゃね。」
と、斜め向かいの粕谷恵美子。