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シングルママ愛子 vol.6. 事の顛末。
病院には、新谷と同様に、
救急車で運ばれた他の社員が2名いた。
そして、その2名の家族もそれぞれ病院に到着しており、
成り行きを見守っていたのだが、
幸いにも2名の命は守られたのであった。
但し、予期せぬ事故である。
その事故による影響は大きく、社員の一人は片足の上に、
アングルが乗ったままの状態であったために、
片足の膝から下は切断する以外になく、
もう一人の社員は、左腕を失うほどの状態であった。
いずれにせよ、通常の生活ではもはや現場に復帰する事は、
到底不可能と言う状態であった。
その事実を会社関係に報告するがために、
医師がまず、現場から救急車に同乗していた川岸に、
愛子のいる部屋をノックしたのだった。
そして川岸と共に、他の2名の家族と面談したのであった。
辛い役目である。
それから程よくして、ようやく会社の上司が病院に到着し、
川岸から状況を聞き取り、愛子に、そして他の家族にも謝罪をし続けた。
午後のその事故から長い時間が掛かっていた。
会社の上司は、あれから数時間、家族との応対に関わっている。
そして川岸は愛子に付っきりで事の顛末を話していた。