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シングルママ愛子 vol.58. 出来る事は全部やる。
「トシが…、とにかく出来る事は全部やるって。」
「うん、そうよね。」
「やりもしないで、後で後悔はしたくない。モコは俺の体の一部でもあるんだから…。」
「……。」
「…ん…???あっ、愛姉ぇ…ごめん…。」
「…ん…???あっ、いや…はは…大丈夫よ、そんな…モコ~!」
両手を合わせて愛子に申し訳なさそうに…。
つい先日、主を亡くした愛子にとって、
愛する人の事を…つまりは…基子自身の「惚気」にも繋がる話を…。
けれども愛子は既に、頭を切り替えていた。
それは既に、自分の身寄り自体も当てには出来なく、
全てが自分に掛かっていると言う現実が、葬儀の日々、
枕を濡らしてまでも泣いた結果、自分に出した答えだった。
強い女ではないのだが、敢えて自分の体を動かし、
様々な事を考える事によって、いろんな方向性も見えてくると言う事に気付いたのだった。
そして、それを気付かせてくれたのが、誰でもない川岸だった。
「モコ…、死んだ人は戻ってはこない。でも、今、生きている人は、その人の分も…。」




