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シングルママ愛子 vol.55. お~ば~ちゃん。
翌日の午後、学校に寄り琴美を車に乗せて、
そのまま基子が入院している病院へ。
病室のドアを開き、琴美がすぐに、
「お~ば~ちゃん。」
と、基子に声を掛けると、その声にすぐに反応して、
「わあ~琴ちゃ~ん、それに愛姉ぇ~!来てくれたんだ~ありがとう~!」
「おばちゃ~んこれ~!」
と、琴美には重そうな果物の籠を基子に見せ、
「一緒に食べよう。」
「そうね、ありがとう、食べよう、食べよう。」
愛子も基子の顔を見て、変わりない顔色に安心してか…。
「モコ…、元気そうじゃない…。」
近くの花屋から買ってきた花束を基子に見せながら。
そんな愛子に基子は…。
「うん、何とかね…。」
そう言葉にした瞬間、少しだけうつむき加減に…、
「トシから聞いた…。…栄さん…。」
「うん、事故… でね。もう…一週間になる。…川ちゃんから電話で、その事を聞いた瞬間…もう…パニクッてたわ…、さすがに私も…。」
花束の花を見ながら、丁度、萎れる一歩手前の花瓶の花を交換する旨、
基子に目配せして、
「花…活けてくるね。」