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シングルママ愛子 vol.46. あるエピソード。
暗い病室の中でひとり、目を閉じても中々寝付けない基子。
「栄さん…、もういない…。栄さんの顔…。」
再び瞼に涙が潤み始め、溢れて、また零れる。
「…もしかしたら私…、栄さんを…。」
川岸夫婦と新谷家では、毎年数回はファミリーがらみで余暇を楽しむ。
その中でも夏の野外でのバーベキューは、
キャンプ場にまで赴いて楽しむと言う事にもなるのである。
そのキャンプ場でのあるエピソードが基子には思い出されていた。
あるハプニングが予期しない出来事へと発展したのだった。
4人ともそれぞれがキャンプの準備で動いていた。
男性の方は、開放された自然の中で、
如何にもこれからキャンプの準備と言う気合で、
既に缶ビールを飲みながらの作業をしていた。
そんな時に、自分から薪探しに向かって、
テントに戻ってきた基子が、偶然にも何かを探しに、
テントの裏に来ていた栄二とすれ違いざま、
基子が地面に張り出していた樹の根に躓き転びそうになったのだった。
その時に至近距離にいた栄二が倒れる基子を支えた時に…。




