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シングルママ愛子 vol.43. 「愛子さん、携帯鳴ってるわよ。」
そんな基子の事を考えていた矢先に隣の部屋にいる慶子から、
「愛子さん、携帯鳴ってるわよ。」
すぐに隣の部屋の座卓に置いてあった自分の携帯を持てば、
川岸からであった。基子を見舞って、自宅に戻ったところだった。
「愛さん、…あ、いや、奥さん、今病院から戻ったばかりで…。」
仕事以外では、愛子の事を呼びやすい名前で呼ぶ習慣が身に付いていて…。
けれども、今はそのような状態ではないとは分かっていての呼称を「奥さん」と…。
しかし、そんな川岸の考えを接してか、愛子のほうも、別に気兼ねなく…。
愛子も愛子で、プライベートの時には常に、
川岸の事を「川ちゃん」と呼んでいたために、
全く違和感はなかったのだった。
傍にいる慶子に合図をして部屋から出て、
「川岸君、どうもありがとうね、いろいろと…。助かったわ。…で、どんな感じ、基子の方は…???」
ひとりだけのリビングで川岸は、
「ええ、今日は案外気分良かったようでした。窓の外の紅葉を見ていて、綺麗…なんて言って…。」
「そう…。それなら良かった。」
「で…。課長の事は…。」




