42/176
シングルママ愛子 vol.42. 家族団欒のシーン。
テーブルに左手を付き、一旦は椅子を引いたのだが、
また元に戻し、流し台に立ち、蛇口から水をコップに…。
一口喉に運び、キャビネットの中のものを眺め、
そして冷蔵庫の中を覗く。
家族で食べるために用意していた食料品やアルコールを見て、
少しだけまた瞼を緩め、冷蔵庫の扉を閉める。
冷蔵庫を背に、キャビネットの中に納まっている、
ブランデーなどボトルを見ながら、一言…。
「あなた…。」
栄二との家族団欒のシーンがあれこれと頭の中で巡り巡る。
そんな中にも、 ふと過る夫以外の顔。
今さっき慶子の口から飛び出した「彼」と言う言葉が一瞬…。
けれども、死んでしまった夫の事を思い出しながらも、
必然的に頭に過るのは「川岸」の顔でもあった。
「…もしかしてお義姉さん…。」
そんな事は有り得るはずもない事は、
愛子が一番良く分かっているのだが…。
「…もし…、そうだとしても、そんな事…。」
そして…、そんな事を考えながらも、
愛子の意識は、知らずしらずに川岸の妻、基子の事を思うのだった。
「モコ…。」




