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シングルママ愛子 vol.40. 愛子、こころの中で…。
「そんな事があったからか、彼女、娘に聞いたんだって。ママの声、そんなに違ってた???って。」
「ふんふん。」
「娘も嬉しそうに…、うん、違ってた、何だか嬉しそうだった…って。ママ…ひょっとして男の人…???パパみたいな人なの…???って…。」
「へぇ~凄いのね~!」
「でしょう~。」
「じゃあ、それから彼と彼女…???」
「うん。今までは彼からの一方通行的な電話だけだったんだけど…、今度は彼女から彼に電話も掛けたりして…。」
「なるほどね~。」
「実際、彼の顔って、数回、娘さんも見ていて、話もしていたから、結構懐きも早かったの。」
「それで…トントン拍子に…。」
「そういう事もあるのよ。本当に稀なケース。」
愛子がお茶を注いでくれて、一口啜る慶子。
「今回の事で、あ…同じだ、あの時の事と…。琴美ちゃん見てて、そんな風に感じたのよ。」
そんな風に話す慶子の顔を見ながら、
少しだけ微笑むしかなかった愛子、
こころの中で…、
「…でも、今の私には、そんな…彼みたいな人なんて…。」
少し、焦点が合わない感じの愛子に…。