シングルママ愛子 vol.33. 同じなんだ。今回と…。
「お義姉ぇさん…???」
「…あっ…。言えね。…ごめんなさい。ちょっと思い出しちゃって…。ハハ…。」
ハンカチで両目を抑え、そして鼻に当て…、
「琴美ちゃん、見てて、思い出しちゃった。」
慶子の言葉に、少しだけ慰めの笑みを投げ、
そして慶子の膝に優しく手を当てる愛子。
「同じなんだ。今回と…。」
ふと慶子が話始めた。
「もう…10年も前の事かな…。私の幼馴染にもいたの、琴美ちゃんみたいに小学2年生の女の子を持った両親が…。」
「お義姉ぇさんの…幼馴染…???」
「うん。私より2つ…下なのよ、その母親が…。子供の頃から仲良しでね。20代の半ばで結婚したの、でも長い事子供には恵まれなかったの。…たしか…5年は出来なかったわね。旦那さんはそれこそ、地元の大手の会社の部長さん、若くしての部長さん。順風満帆の夫婦生活だったんだけど、悩みが子供…。」
「うん。…でも…5年…???」
「そう…、5年。何かが起こったみたいに、幼馴染の彼女が、30歳になった時に、突然妊娠、そしてめでたく出産。…女の子よ。」
「あら…、ふふ…。」
「二人とも…そりゃ大喜びよ、待ちに待った赤ちゃんだから…。」