シングルママ愛子 vol.31. いつ出れるかな…ここ…???
「あんまり線香の匂いじゃちょっと雰囲気的に変かな…って、思ってね、家に戻って着替えてきたんだ…けど…。」
「…ん…けど…???」
「さすがは奥様、線香の匂い、見抜いちゃいましたね~!」
そう言いながら基子の鼻を摘んで、頬を撫でる。
そして基子の髪を触って、
「モコ~いつ出れるかな…ここ…???」
「う~ん???そうだな~!明日!」
「本当か…。良し、明日だな!」
「嘘嘘嘘――――ッ!ベ――――だ!」
「こら、嘘つき!」
そんな風に、基子に拳を見せて、基子は布団を被る。
少し、間を空けて…。
「モコ~!」
「ん~???」
「愛子さんと琴ちゃん、モコに宜しくって。」
「あ~ん琴ちゃんに会いたい~!」
「そうだな、早く会おう。」
「早く、早く~!」
「そう焦るなよ…。」
「何でよ…早く早く~!」
「今はちょっと…だめなんだ。」
「何でよ、どうしてよ~!」
駄々っ子みたいに川岸に問い掛ける基子に、
「今、愛子さんも琴ちゃんも悲しい状態なんだ…。」
「えっ…???どうして…、何かあったの…???」
「実は、2日前の事なんだけど…、突然の事故があって、その事故で栄さん、亡くなったんだ。」
「えっ…???」