27/176
シングルママ愛子 vol.27. 川岸…様々な思い。
病院に着くまでに、様々な事が川岸の頭の中で、
走馬灯のように巡り巡っていた。
新谷家の事、愛子の事、そして琴美の事。
そして、今も尚、ベッドの上でしか生活出来ないでいる妻基子の事。
川岸本人、「これから…。」と言う、
ある意味では悩みとも迷いとも取れる思いを巡らせていたのだった。
妻の事は愛していた。けれども、今回の事で、
病状は急速に進行していたのである。
つまりは早期の発見ではなかったのである。
そのために、他の癌同様に、経過も急激だったのである。
幸いにも血液の専門家のいる病院に運ばれたために、
化学治療なども施されてはいたのだが、
医師の判断では、最悪の場合は骨髄移植も考えた方が…。
と言う事だったのだが、如何せん、その前に基子自身の体調が、
病院に搬送された以降、芳しくなくなっているのだった。
その理由が…、子供が出来ないと言う事だった。
元々基子は子供好きで、将来は保育士になりたいとも思っていたのだった。
けれども両親がそういう基子の将来を許してはくれなかったのである。