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シングルママ愛子  作者: THMISmama
24/176

シングルママ愛子  vol.24.  「琴のパパ…。」

「琴…パパに最後よ…。」

と、母に言われ、そして自分の目で棺の中に、

白い姿で納まっている自分の父親の顔を見て…。


小学2年の女の子とは言え、変わり果て、

目も開けない、口も開かない。

箱の中に入っている父親の顔を見て、

初めて知った、自分の知らない世界を、

父親がいなくなった事の現実を、

小さな目で、小さな体で、実感したのであった。


言葉には表せない。不思議な気持ち。こころの中で、

「琴のパパ…もういない…。」


悲しいけど、その悲しみを母の愛子に縋るしかないのだった。


琴美を床に降ろした後に、声もなく琴美の両肩を優しく撫でる愛子、

琴美の両肩を撫でながらも自分も目を真っ赤にして、

拭っても拭っても止まらない涙。

立っているのが精いっぱいの中で…。


静かに棺は家の外に出て、霊柩車の中、

ゆっくりと走り出すのだった。


火葬の立会は愛子と琴美、そして川岸と栄二の兄が先に立ち、

その他には栄二を特に慕っていた会社の社員数名と、

愛子の友達とが同行した。






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