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シングルママ愛子 vol.23. 声も出さずに涙…。
祭壇の周りには数多くの華が会社関連、
知人友人から贈られ、飾られていた。
その真ん中に栄二の写真が飾られ、
線香が途絶える前に、時折誰かが新たに付け足していた。
その祭壇が設けられた部屋で今や未亡人となった愛子と娘の琴美、
そして栄二の実家の家族、そして川岸と…。
その他には会社の社員や友人、知人と言った常に新谷家とは、
繋がりの深い者だけが宴を設けていた。
この時になって、ようやく琴美は父親の実家の子供たちと、
少しずつ接するようにもなってはいた。
けれども、琴美の表情は暗かった。それもそのはずである。
出棺の際に、既に変わり果てた父親の顔の傍に飾った花…。
母の愛子に言われて、「琴…パパに最後よ…。」
そう言われて、愛子が琴美の手に花を握らせ、
父親の顔の傍に添えられた。
その時、琴美の小さな瞳に映った父親の顔…。
その顔を見て、低く、小さな声で…、
「パパ…、ここにいた…。でも…どうして…。」
琴美を抱えながらの愛子、琴美を下ろした途端に声も出さずに涙を流したのだ。




