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シングルママ愛子  作者: THMISmama
21/176

シングルママ愛子  vol.21.  「基子の方は良いの???」

「琴ちゃん、パパね、遠くに行っちゃったのかもしれないね。」

「遠くってどこ…???ママと琴美を置いてどこに…???」


「今はまだ分からないけど、琴ちゃんがもう少し大きくなったら、分かるかも…。」

川岸には、そういう事しか琴美に話す事が出来なかった。


「ママも同じ事言ってた。」

琴美を持ち上げながら、川岸は新谷家の庭を見渡し、

そして、弔問客の黒の喪服姿を見ながら、栄二がこの世を去った今、


「これから…愛子さん…。」

そんな風に考えるのだった。


「琴ちゃんを抱えて、これから…この家で…。」

想像してもきりがない事は分かっているのだが、

そういう川岸自身も、愛する妻は今病院のベッドの上で…。


川岸の頭の中で呟いた言葉…、

「基子。」


ゆっくりと琴美を床に降ろして愛子の元に戻しながら愛子に、

「今琴ちゃん、ジュース飲んできたから…。」

愛子の傍にまた、元に戻ったように、寄り添いながら座る琴美、

琴美の背中を撫でながら、


「ありがとう川ちゃん、何から何までごめんね。…あっ、川ちゃん、基子の方は良いの???」




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