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シングルママ愛子  作者: THMISmama
20/176

シングルママ愛子  vol.20.  「でもさ、川じぃ。」

「そうだね…。ママ…今、元気ないよね。」

「どうしてママ…元気ないの…???」


「琴ちゃんとおんなじように、少し、疲れているんだ。」

「ふ~ん、疲れているんだ…。」


「そう…、だから、元気のないママの傍に着いていてあげなきゃね。それ…琴ちゃんのお仕事だよ。」

「うん、わかった。…でもさ、川じぃ、パパ…いないよ。どこにいるのかな、琴、ずっとあちこち見ているんだけど、パパいないの。」


「そうだね、パパ、いないね。どこに行ったのか、川じぃも知らないんだ。」

「ふ~ん、川じぃも知らないのか。でも、パパのおっきな写真がお部屋にあるんだけどな。パパどこなんだろ???」


川岸は琴美の話を聞きながら、

次第に瞼に熱いものが込み上げてきた。


それを琴美に見られないように、

「そうだねぇ、パパどこなんだろうねぇ。」

と、言いながら、軽いその体を持ち上げ、腕に乗せて、

新谷家の庭を眺めたのだった。


丹精に整理された新谷家の庭、丁寧に整理され、

配備された植樹も、何かしら栄二の追悼の意を表しているようにも感じられた。



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