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シングルママ愛子 vol.2. 予期せぬ事故。
突然上空を吹いた突風でアングルが揺れ、
ビルの鉄筋にぶつかり、その拍子にアングルを縛っていたワイヤーに亀裂が…。
些細な亀裂が突風で揺れたアングルの不安定な揺れによって広がり、
一瞬にしてワイヤーが千切れ、
縛られていたはずの数本のアングルがランダムな状態で一気に地上へ。
その音に気付いて現場にいた社員が一斉に逃げるが…。
ランダムで落ちるアングルは現場に整理されていた、
鉄パイプの棚の支柱をも大きく傾かせ、
アングル動揺に、鉄パイプも一斉に崩れ落ちる。
一瞬のその出来事に、誰一人その場に立ち入る事も出来ずに、
物音が鳴り止み、砂埃がようやく収まった後に、
周りにいた作業員や職員が急いでその場に踏み入れる。
その中に…、
「課長―――ッ!」
近くで携帯で仕事の連絡をしていた社員の一人が、
「課長、課長、新谷課長―――ッ!」
そして、その傍にいた社員にも、
「おい、矢崎、矢崎、おい。……、課長―ッ!誰か―――救急車だッ!」