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シングルママ愛子 vol.18. 「まだおじいちゃんじゃないでしょ。」
琴美も川岸をどうやって呼ぼうかと考えたのだが、
どうしても、「川岸おじちゃん」と言う呼び方だと、
どうしても時間が掛かり過ぎて、
ある意味では口がもごもごとする感じで、喋り辛かったのだ。
子供心に、ふとある言葉が口を突いて出たのが「川…じぃ」と言う言葉だった。
その言葉を栄二も川岸も聞いた時には、思わず噴き出したものだった。
栄二は飲んでいたビールを吹き出し、
川岸は食べていたものをもう少しで吐き出しそうになったのだった。
愛子は愛子で、溜息をついて、
「琴~まだおじいちゃんじゃないでしょ。」と、
困ったような…顔をしながらも、半ば…苦笑いをしながら…。
けれども…栄二が、咳払いをして、
「まっ、こんなもんだろう~なぁ、川じぃ~ハッハッハ。」
「パパったら~またそんなに簡単に…。川ちゃんゴメンね。」
川岸も川岸で、
「まぁ…、うん、いいんじゃない…かな~!」と。
実際に家族ぐるみで、栄二からは「川」そして愛子からは「川ちゃん」と呼ばれていたせいで、
娘からも「川で…じぃ」考えようにしては…、
「まぁ…普通…と言えば、これが普通か…。」