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シングルママ愛子 vol.174. 引っ越し。
「川ちゃん…ここじゃない、柏木さん。ほら、表札…。」
「本当だ。じゃ。」
事故の際に救急車を呼んでくれた男性に、
ようやく挨拶出来、その後は川岸のアパートを引き払い新谷家に引越し。
「部長、いいっすか、ちょい、重いっすよこれ。」
「これしき…、何年建設会社やってると思ってんだよ。」
そう言いながら、汗びっしょりになって、
引越しの手伝いをする立花以下、部署の佐伯と大森。
引越しと言われてコチラも黙っていられない恵美子も、
友恵と一緒に細々としたものの引っ越し作業。
愛子も黙っていられず、邪魔にならないように隅で監督役。
この時には既に愛子もオーソドックスな2本の松葉杖から、
ステッキタイプの松葉杖に変わっていた。
歩き方もスムーズになってきていた。
それでも常に川岸は愛子の傍を離れずに、
しっかりと見守ったままで…。
時々川岸の腹や腕、背中を愛子も小突きながら、
川岸もそんな愛子を誰はばかることなく肩を抱きながら…、
「ハハ…。」
「ふふ…。」
「お~い。」
「ごちそうさま~!」
佐伯と恵美子。