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シングルママ愛子 vol.162. 生活の匂い。
約一ヶ月半振りの我が家である。
もちろん、毎日琴美と川岸が生活しているために、生活の匂いがある。
少しゆっくりと玄関に座り込んで、
じっくりと自分の右足を見つめる愛子。
「…この足で…。」
何かを考えながらも愛子…。
「愛さん、ゆっくりと…落ち着きましょう。」
と、川岸。愛子の左腕を取り、松葉杖を掴ませリビングのソファに…。
「あ~~ほっとした~~!」
「でしょう~!今…準備しますからね。琴ちゃん。」
「うん。」
自分のためにいろいろとしてくれてる2人の姿を見て、
愛子は少し目が潤んでくるのだった。
それにしても琴美…、川岸の言う事を良く聞いている。
台所から、いろいろと川岸と琴美の声がリビングまで聞こえてくる。
そしていつの間にかリビングのテーブルには、
いろんなご馳走が並んでいるのだった。
そんなご馳走を見て愛子は、
「凄いご馳走ね…。これ…。川ちゃん…作ったの…これ…???」
照れながらも…、
「まぁ…、男の…手習いって…感じで…、口に合うかどうか…、ヘヘ…。」