149/176
シングルママ愛子 vol.149. 「川ちゃん…、私ね…。」
「あっ、はい。」
「眠っている内に…、手術…終わっちゃったのね。もう…病室なのね…。」
「無事に終わりましたよ手術。骨に異常もみられなかったと言う事です。」
「そう…良かった。ありがとうね川ちゃん、何から何まで…。」
まだ眠って起きない琴美。
ベッドの傍で椅子に座って愛子の話を聞いている川岸に…、
まだ少しおぼろげな感じのままで、
「川ちゃん…。」
「はい…???」
「…ありがとうね…。」
そして窓の外に顔を向けて…。
「川ちゃん…、私ね…。」
「はい…、どうしました…???」
さっきより…更に色が濃くなったような黄昏…。
「愛…さん…???」
その時…、
「川じぃ…???ママ…。」
その声に川岸が気付いて…。
「あ~はっはっはっ…起きちゃったか、琴ちゃ~ん。ほら、ママ目~覚めたよ~!」
「あ~ママ~ほんとだ~!」
「琴~!」
と、左腕を布団から出して琴美の手を握る。
それを見てニッコリと微笑む川岸。
そしてそんな川岸を見ながら同じように微笑む愛子。