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シングルママ愛子 vol.138. 通報してくれた人…。
「ママ…、ママ…。ど…こ…???」
「どうやら…気が付いたようですね。良かったです。状態から見ると、かなり衝撃があったようでしたが…。」
と、隊員の声に。
「良かった~良かった~琴ちゃん。」
川岸は琴美の右手を両手で優しく握りながら…、
琴美は、ママ、ママと何度か母親を呼び続けていた。
「近くに総合病院がありますから、そちらの方へ向かっています。」
と、隊員。
「ありがとうございます。…すみませんけど、もう一人の女性の方は…???この子の母親なんですけど…。」
「同じ病院に向かってますよ、ご心配なく…。」
「ありがとうございます。助かりました。…でも、良く都合よく2台も救急車が…。いや…3台ですか…???」
「通報してくれた方が、詳しく状況を話してくれたんです。」
「通報してくれた人…???…あ、あ~あの人ですか~!偶然通り掛かった人みたいでしたけど…。」
川岸も、追突の衝撃で少しはまだ体がギクシャクしてはいたが、
長年、スポーツで鍛えられたお蔭で、
見た感じでもそれほど異常があるとは思えなかった。
そして琴美の目が開き…、
「ママ…ママ…。」