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シングルママ愛子 vol.137. 「うごか…ない。」
愛子のその体の動きと、
表情の変化に気が付いた救急隊員が…、
「奥さん…、どうかしました…???」
「あの…わたし…、私の右脚…うごかない…!!!」
その言葉に隊員が…、
「そう…ですか…。」
「えっ…、どうして…???うごかない…私の右脚…。」
「奥さん…、実は…奥さんの右脚…、特に足首の方ですが、骨の方ですが…。」
「えっ…、まさか…折れ…てる…???」
「車の中から体を救出して時点で既に…右足の方の感覚は…。」
「そんな…。」
「詳しい事は医師の診断に…。」
愛子は隊員のその言葉を聞いた瞬間に…、
「なんて事…、こんな事って…。」
ストレッチャーの上で、上半身は何とか動くのだったが、
下半身の…何とも言えないもどかしさに遣りきれない思いで…、
そして琴美の事が気になっていた。
一方、琴美を乗せた救急車の中では、
ストレッチャーの上の琴美を川岸が付きっ切りで見守っていた。
「琴ちゃん…。」
隊員に、
「大丈夫でしょうか…???」
そう言いながら、琴美の右手を優しく握った瞬間に…、
「ママ…。」