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シングルママ愛子 vol.122. 愛子の頭の中で…。
「いや…、川ちゃん、そう…笑うかも知れないけど…、でも…、そうなのよ…、はしゃいじゃって~!」
「へぇ~栄さんの墓参りに行くってだけではしゃぐか~!…でも、琴ちゃんにしてみれば…死んじゃったパパと…唯一…逢える場所…なのかな…???子供ごころに…???」
その時…、川岸の一言、「子供ごころ。」と、
聞いた瞬間に…愛子の脳裏に一つの情景が甦った。
「あっ!!!」
川岸も、そんな愛子の一瞬の閃きに気付きはしたが、
特に意識を引く事もなく…、
それよりも琴美のはしゃぎようが気になるのだった。
けれども、愛子がその「あっ!!!」と、
何かを思い出したような感じに、
少しばかりその場に立ち止ったのが気になって、
「…愛さん。」
と、愛子の名前を呼んだ。
その川岸の声に…、
「あっ…、あぁ…、いえ…、いいの…。うん…。」
全く、何でもない、と言うように、
愛子は足を止めている川岸の下へと足を進めた。
川岸の後からアパートの階段を降りながら愛子は頭の中で、
「まさか…これって…琴…。」