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シングルママ愛子 vol.118. 灯台下暗し…。
「うん、そう。川じぃ、優しいよ。」
と、琴美。
「そうか、そうか、川じぃ、優しいか~!そりゃ良かった。じゃあ、琴美ちゃん、寂しくないな。」
にこにこと琴美を抱き上げてそう話す立花。
「部長~!」
と、照れながらも、川岸は…、
「今日は本当にありがとうございました。」
「良い葬式だった。くれぐれも…カミさんの両親…大事にな。」
抱いていた琴美を下ろしながら、
「なぁ…川岸…。」
「はい…???」
「亡くなったカミさんの前で言える事じゃないが…、これからの事も考えろ!」
「はぁ…。…はぁ…???」
「灯台下暗し…って事も…ある…からな。」
妙な事を言う…、そう立花の言葉に笑顔なりにも頭を傾げながらも、
琴美の頭を撫でながら、
「琴ちゃん、良い子にしてたね。」
と、一言。
「ママと川じぃがいるもん、琴…寂しくなかった。」
「ハハ、そうか…。良いぞ~!」
そんな川岸と琴美を見ながら愛子は…一言、
「琴…、川ちゃん…。」
そう呟いてゆっくりと振り返り、基子の祭壇に向かう。